シェアハウスは高収益・高安定を両立した新しい賃貸経営スタイルです。
お持ちの空き家をそのままリフォームすることで、すぐに経営をはじめられる点もメリット。既に一定の市場規模を確保しており、今後更に需要が見込めるビジネスです。
今回は、そんなシェアハウスの概要や現状について解説。活用モデルを通じてご紹介しようと思います。
Contents
シェアハウスの現状
シェアハウスは登場以来、順調に需要の広がりを見せている物件です。
国土交通省住宅局の制作したシェハアウス報告書によると、シェハウスは2005年を境目に急速にその市場を拡大。
2011年末の時点で既に参入業者は350社を超え、物件数は1,000件以上を数えたと報告されています。
住宅市場が成熟を見せた日本市場において、当時のシェアハウスの伸長はまさに「奇貨」。驚愕に値すると見るべきです。
参考国土交通省住宅局 民間賃貸住宅における共用居住形態に係る実態調査報告書
シェハウスの今後の需要は
シェアハウス市場はその後も順調な拡大を見せており、株式会社三井住友トラスト基礎研究所の調べによると、2018年現在では約3000件程度、約3万部屋規模の市場があると推定されています。
需要バランスの予測は難しいものですが、シェアハウスは既に一定の市場規模を獲得した賃貸モデル。
増えるにせよ減るにせよ、「必要とする人は存在する」と言えるでしょう。
シェアハウスへの活用の方法・流れ
シェアハウスをはじめるためには、以下の流れが一般的です。
ここでは各項目の流れやポイントを解説しますので、順番に確認してみましょう。
コンセプトを定める
シェアハウスはコンセプトの定めが欠かせません。
入居者は生活空間の一部を共有するため、同じユーザー層が集中して利用する傾向にあるからです。
男性向け女性向け、外国人向けといった具合に、最初から入居者の属性に合わせてコンセプトを絞ります。
☆ユーザーコンセプトを絞りこむ
- 性別 … 男性向けor女性向け
- 性向 … 外国人向けor若者向け
- ニーズ … コスト重視派orデザイン派
シェアハウスは基本的に女性ニーズが高いので、女性向けに建てると高い安定性が見込めます。
賃料・契約内容を定める
賃料や契約内容は事前に定めましょう。
賃料はコンセプトやお部屋の面積に見合ったものを設定するべきですが、近隣の同様の賃貸不動産と比べて低めに設定される傾向にあります。
国交省のシェアハウス報告書では、平均賃料は約5〜6万円と算出。
更に別の機関の調査でシェアハウスの利用者層の約50%以上が「年収300万円以下」と判定されたことを考慮すると、高額賃料の場合は他に工夫が必要と考えるべきです。
なお、シェアハウスでは通常の借家契約ではなく、定期借家がメイン。入居サイクルが短いため、このような配慮が双方にとってメリットです。
参考国土交通省住宅局 民間賃貸住宅における共用居住形態に係る実態調査報告書
参考ひつじ不動産「ひつじ不動産白書 2008」
リフォーム・リノベーションする
計画が定まったら、リフォームやリノベーションでシェアハウスに向けて改修を行います。
ただ空き家の設備を新しくするのではなく、ターゲットにしたユーザー層に向け、コンセプトに従って改修を進めるのがコツです。
例えば、女性向け物件の場合、以下のような点に留意します。
- 個室に電子キーやカードキーを導入
… 男性に比べセキュリティ意識が高い - トイレは複数・遮音性を確保
… トイレの利用時間が長い・音漏れを嫌う - リビング設備を充実
… コミュニケーションを重視しやすい
メリットデメリット
シェアハウスには収益性や空室リスクなどのメリットがある反面、住民トラブルや管理コストの難しさなど厄介な点も存在します。
シェアハウスのメリット
シェアハウスのメリットは以下の通りです。
収益性が非常に高い
シェアハウスは非常に収益が高い賃貸モデルです。
入居者1人ひとりと契約を結ぶため、空き家をリフォームしてそのまま1世帯に貸し出すよりも、ずっと高い収益が見込めます。
また、キッチンやお風呂などを共用部分とすることで、同じ敷地面積でも部屋数を多く配置可能。通常の単身向け賃貸物件より効率的です。
空室リスクが低い
シェアハウスは入居者との個別契約なので、1人が退去しても残りの入居者から賃料を徴収可能です。
これが空き家1軒をそのまま貸し出していた場合、入居者が退去すると即収益はゼロ。どちらが安定的な経営スタイルかは、比べるまでもありません。
シェアハウスのデメリット
シェアハウスのデメリットは以下の通りです。
住民トラブルが多い
住民トラブルは、オーナー視点でのシェアハウスの最も大きなデメリットです。
シェアハウスはお風呂やトイレ・キッチン等が共用なので、通常の賃貸物件と比べて住民同士が顔を合わす機会が多く、住民同士がケンカしてしまうことが少なくありません。
管理コストが高い
物件管理が面倒な方は、管理会社に委託してしまう手があります。
ところが、管理会社の多くはシェアハウス物件の管理費を高額に設定。通常の賃貸アパートと比べて多くの管理料を負担することになります。。
活用事例
シェアハウスの活用事例です。
シングルマザー向けシェアハウス
シングルマザー向けにリフォームした活用事例です。
オーナーのA様は、ご両親から受け継いだ空き家の活用方法に悩んでいたのですが、近隣に保育所やひとり親向けコミュニティが多い点に着目。
孤立を深め悩みを抱えやすい、シングルマザー向けシェアハウスを設立する考えに至りました。
設立にあたっては、以下のようなシングルマザー向けの設計を重視してリノベーション。現在ではシングルマザーを中心に、多くの入居者が入っています。
- 個室部分防音・遮音性を重視
… 子育ての騒音・生活音ストレスをカット - 共用部分は広く児童向け設備も
… 入居者同士の交流を重視・子育てサポート - シッターサービスの適用
… 忙しいママさんを支援
ペットと一緒に住めるシェアハウス
シェアハウスに限らず、多くの物件はペット不可の場合が多くあります。
ですが、空き家オーナーのB様はご自身がペット好きなこともあり、「ペット対応のシェアハウスがあってもいいのではないか」との発想に帰着。
- ペット用スペースの設置
… 自室以外にもペットの生活空間を確保 - 建材は傷のつきにくいものを選択
… 猫の爪とぎなどを対策 - 徹底したルール付け
… 共用部分を汚した時等のルールを明確に定める
リフォーム時には、設備だけでなく建材や構造等にも留意することで、収益化を実現しています。
他にも下記のような事例がありますので、ぜひ参考にしてください。
まとめ
シェアハウスは収益性の高さや空室リスクの低さなど、とても多くのメリットを持つ魅力的な経営スタイルです。
ただし、シェアハウスとして成功するためには、利用者層に合わせたコンセプトを持ち、個室・共用部分に反映するリフォーム改修が求められます。
弊社では、不動産業者としてのプロの目線に立ち、オーナー様のシェアハウスを成功に導くためのご相談・ご提案を承っております。
☆空き家をシェアハウスとして活用する流れ