今回は、空き家活用に対して支給される補助金制度をご紹介しようと思います。
政府は増加する空き家を活用することで国内経済の発展を促しており、2018年時点でも様々な政策が盛り込まれています。
ただし、それらの制度を横断的に整理した情報は少なく、「結局どんな補助金がもらえるの?」とお悩みの方は多いのではないでしょうか?
補助金制度の概要をリストアップしましたので、一緒に確認してみましょう。
Contents
空き家入居で4万円!「家賃低廉化支援」制度
低所得世帯や高齢者世帯など(要配慮者)の入居を受け入れることで、「オーナーに対して最大月4万円」を支給する制度です。
更に従来の制度と違い「オーナーに直接支給される」ため、制度が存続する限り、確実に給付を受けることができます。
要配慮者は全体的に生活が困難な状況にあることを踏まえ、政府が2017年10月に「セーフティーネット法」の改正を契機に広がりました。
※要配慮者とは?
高齢者、障害者、乳幼児その他の特に配慮を要する人のこと
導入のための条件は?
この補助金制度は、低所得者の救済措置的な意味合いが含まれています。そのため、該当する人を受け入れることが支給の絶対条件です。
一般的に低所得世帯は家賃の支払を続けることが難しく、不渡りリスクが高いので、借主としての魅力は低めです。
また、高齢者世帯は保証会社の審査が厳しく、孤独死など物件価値を引き下げる要因があるため、こちらも敬遠されてきました。
この制度はそれらの世帯の救済を主眼に据えており、
- 居住面積が25m2以上であること
- 一定の耐震水準を満たしていること
- 要配慮者向けとして対象物件の登録を行うこと
を満たした物件のオーナーに支給するものと定めています。
導入のための手続は?
具体的手続きは以下の通りです。
- 所有している空き家を「入居を拒否しない物件」として、都道府県に登録する
- 都道府県により「居住支援法人」指定を受けた業者が入居付を行う
- 国と都道府県が最大4万円の家賃補助を折半。「オーナーに直接」支給する
空き家だった建物を活用すると最大4万円/月もらえる!色々なリスクはありますが、利用しない手はありませんね。
さらに詳細は下記の記事をご確認ください。
参考記事空き家活用で月4万円補助!?家賃低廉化補助制度とは?
空き家の改修で100万円の補助金!「改修工事費支援」制度
本制度は、先ほどご紹介した家賃低廉化支援制度と同様に、「セーフティーネット法」の改正により導入が決定した制度です。
空き家の改修を行う際に、政府が補助金として「1戸につき最大100万円」が支給することで、低所得者世帯の入居を想定した改修を促す目的を有しています。
リフォームにかかるコストを低く抑えることができるため、資産価値を高めると同時に、家賃補助による安定収入のとば口となる制度です。
どんな工事が対象?
この補助制度は、要配慮者の生活水準の確保を目的としています。そのため、工事内容も最低限の生活環境を実現するものが中心です。
改修工事支援の具体的内容
- 耐震改修工事
- 間取り変更工事(狭い部屋を基準を満たす部屋に拡張など)
- バリアフリー導入工事
- インスペクションにより明らかになった工事
- その他、住宅確保要配慮者居住支援協議会が認める工事
特に耐震工事や間取り変更工事は、空き家所有者にとって魅力的な工事です。
間取りを変更することで居住空間の確保が行えるため、前述した「家賃補助」の対象となる物件に仕上げることができます。
導入のための条件は?
配慮者の入居を想定した改修であることが前提条件です。そのため、制度利用には以下の条件が付されています。
制度適用の条件
- 要配慮者向けとして対象物件の登録をおこなうこと
- 補助を受けてから10年間は他の入居付を行わないこと
- 入居者の政令月収が「38.7万円」以下であること
要配慮者と表記しつつ実際には高所得者の入居付けを行っていた場合や、月収が高額で制度に頼らずとも居住物件を見つけることが可能な人物を入居させていた場合は、制度対象外となってしまいます。
さらに詳細は下記の記事をご確認ください。
参考記事空き家活用のための改修で100万円もらえる!「住宅確保要配慮者専用賃貸改修事業」を活用しよう
空き家の解体で補助金!「空き家解体補助金制度」
空き家の解体に対して、「地方自治体が要した費用の一部を補助する」制度です。
空き家の解体を促すことで、土地の活用と空き家の減少を促す目的を有しており、解体後の不動産はオーナーが自由に扱うことができます。
どんな工事が対象?対象外工事は?
この制度は、「全国共通の制度」ではありません。地域によって呼称が異なるだけでなく、対象となる条件も自治体によって異なります。
そのため、ここでは一般的な条件のみを記載します。
解体補助の一般的な対象工事
- 居住用物件の解体工事
- 住宅兼店舗の解体工事
- 工場・倉庫の解体工事(地域によっては法人を対象外とすることも)
対象外となりやすい工事
- 地下埋没物の除去
- 他の補助制度を併用した工事
- 市外の施工業者に依頼した工事
導入のための条件は?
導入条件も地方自治体によって異なります。
解体補助金制度を利用するための条件
- 空き家となった経過年数(例:連続して1年以上、3年以上)
- 所有者の性質(例:暴力団関係者でないこと等)
- 租税滞納等がないこと(例:住民税の滞納をしていないこと等)
同制度は地域差が大きいため、実際に導入する場合はまず「空き家の所在地を管轄する自治体が制度を導入しているか?」を確認すると良いでしょう。
さらに詳細は下記の記事をご確認ください。
参考記事空き家の解体には補助金が出る!補助金活用と解体後の土地活用のポイント
おわりに
2018年現在、日本国内には多くの空き家が存在します。
政府は2020年を目標に、空き家登録物件を「全国で約17.5万戸」に引き上げることを目標に設定。空き家を取り巻く社会事情の改善に向けて、しきりに働きかけています。
今回の制度は政府目標に近づくための具体的なアプローチと言って良いでしょう。
「空き家の活用」と「入居の支援」の両立は、オーナーと入居者の双方にメリットのある制度です。
「空き家をどうしよう…」とお悩みの方は、一度検討してみては如何でしょうか。