横浜市という比較的都会でも空き家をお持ちの方も多いのですが、都会だからこそ需要も多くあり、しっかりと自治体の政策を知っておくことによって、よりメリットのある形での活用が実現できます。
横浜市内で空き家となってしまった不動産をお持ちの方は、ぜひこの機会に活用をご検討ください。
活用を考える前に必要な知識として、現在の横浜市を取り巻く空き家の現状や、市が実施する空き家活用に役立つリフォーム・改修・解体支援政策について解説いたします。
ぜひ最後までお読みいただき、今後の活用の参考にしてください。
Contents
横浜市の空き家活用の基本方針
横浜市では、空き家活用に使えるリフォーム支援策や、解体支援政策(地域限定)を実施しています。
また、空き家活用の相談を受け付ける窓口を設置し、空家の管理や運用にお悩みのオーナーさんのサポートも実施。空き家問題の改善を目標に、積極的に働きかけています。
横浜市の空き家の現況
平成25年度の統計情報によると、横浜市の空き家は市内で「17万8050戸」です。これは横浜市内の住宅合計「176万戸」と比べて、約10.09%に相当します。
また、空き家のうち売却用・賃貸用として活用されていない「その他空き家(実質的な空き家)」は、およそ「5万2590戸」です。これは、空き家総数(17万8050戸)のうち、約3割程度となっています。
老朽化した物件も目立つ
横浜市は、老朽化物件に対する統計情報も公開しています。
市の公開した情報によると、「腐朽・破損アリ」と認定されたその他住宅は「7330戸」。各区で整理すると鶴見区、南区、港北区の順で多くなります。
これらの空き家は空き家対策法上の「特定空き家」とみなされる可能性があり、オーナーの方には、適切な管理・運用を検討することをオススメします。
横浜市の具体的な空き家活用施策
横浜市では、様々な空き家対策やリフォーム補助政策を実施しています。項目別に整理しましたので、順番に確認して行きましょう。
改修に関する政策
横浜市の物件が対象となる空き家や住宅の改修に対する政策です。
横浜市住まいのエコリノベーション補助制度
既存住宅を建て替えずに、「省エネ」かつ「健康」な住まいの基本となる、室内温度差の少ない住宅の普及を目指している制度です。
制度の概要は下記の通りです。
- 対象工事は?
→ 市が指定する断熱改修工事やそれに伴う設備改修工事など - どんな住宅が対象?
→ 一戸建て住宅・共同住宅のうち耐震基準を満たすもの(賃貸・分譲は問わない) - 補助金の額は?
→ 40万円もしくは80万円(住宅条件により変動)
セーフティネット登録案内
空家や賃貸物件を、住宅確保要配慮者向けの物件として「セーフティネット」に登録を案内する事業です。(登録窓口は市内公益社団法人)
登録住宅を「住宅確保要配慮者専用住宅」として扱うことで、国から物件改修費の補助金対象となることができます。
参考横浜市マンション・バリアフリー化等支援事業
解体に関する政策
横浜市の物件が対象となる、空家の解体に対する支援事業や補助金政策です。
建築物不燃化推進事業補助制度
火災や倒壊による被害が懸念される物件の解体を支援する事業です。
制度の概要は下記の通りです。
- 対象工事は?
→ 建築物の除却工事、または耐火性能強化工事 - どんな住宅が対象?
→ 市が指定する不燃化推進地域に位置する、個人もしくは自治会・中小企業の所有する物件(大企業は対象外) - 補助金の額は?
→ 解体150万円、新築耐火150万円。双方併用の場合は合計300万円。補助率は重点対策地域が工事費の3/4、その他の地域が2/3です。
ただし、この補助制度は市内全域が対象というワケではなく、「特定エリア」のみに限定される点に注意しましょう。
参考建築物不燃化推進事業補助
参考市が指定する不燃化推進地域について:横浜市建築物不燃化推進事業補助金交付要綱
その他空家対策に対する政策
横浜市の物件が対象となる、空き家活用に対するその他の支援政策です。
横浜市空家無料相談会
神奈川県の宅地建物取引業協会や弁護士会、司法書士会などが参加する相談会です。
不動産の売買や賃貸などの活用相談から、相続や成年後見制度、紛争問題に対する相談など、「空き家」を取り巻く様々な問題に対して助言を受けることができます。
参考横浜市空家無料相談会
空き家の流通・活用の手引き
横浜市が実施している空き家の流通や活用に対する政策や、相談窓口の紹介などを記載した手引書です。
必要な知識を一通り身に着けたいとお考えの方にオススメ。
空き家対策セルフチェックシート
空き家の状態をセルフチェックするためのシートです。
印刷して空き家管理時に使用することで、家の周りから家の中、外壁やバルコニーなど、見落としがちな空き家トラブルを確認することができます。
空き家対策法が施行されて以来、放置空き家は適切な管理を行うことが求められています。活用方法が決まるまで、シートを使い適切な維持管理を目指しては如何でしょうか。
参考空き家対策セルフチェックシート
まとめ
今回は、横浜市が実施する空き家向けの政策をご紹介しました。
横浜市内は空き家の件数がとても多く、改修やリフォーム、解体など様々な支援サービスが提供されています。
リフォームや改修事業を実施する際には、これらの補助政策が大きな助けとなることも。土地活用を成功に導くためにも、無視できない制度です。
もちろん、弊社でも「空き家の活用」や「運用相談」は積極的に承っております。放置空き家でお悩みになっているオーナーさんは、ぜひ一度ご相談下さい。
2015年5月26日に施行された「空家等対策特別措置法」では、『特定空家等とは、そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態、その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあると認められる空家等をいう』とされています。
引用特定空き家とは-NPO法人 空家・空地管理センター