東京都は各区で様々な施策が盛り込まれていますが、区政の上に位置する東京都では、どのような施策が実施されているのでしょうか。
東京都はいま、東京オリンピックや都民ファーストなどパワーワードのもと、住宅整備も含め、幅広く動いている状況です。
今回は、そんな東京都全体の空き家状況を分析しつつ、その施策や内容を解説しようと思います。
Contents
東京都の政策の基本方針
東京都では現在、都政による直接の空き家改修・解体補助制度はほとんど実施していません。
都政の方針では全体的な空き家活用策の策定を行い、具体的な施策は各自治体(市区町村)に任せる形で運営しています。また、東京都ではこうした区政や市政に予算を配分し、各地域での施策をサポートしている状況です。
オーナーさんが具体的な補助金政策などの情報をお求めの場合、都ではなくお住まいの区や空き家が所在する区について調査することが、制度把握の早道です。
もちろん、不動産屋さんやリフォーム業者も、この手の補助金政策は把握しています。空き家の運用相談も含めて、検討してみては如何でしょうか。
東京都の政策のポイント
- 東京都では市や区に対して空き家対策の予算を配分している
- 具体的な空き家関連の補助金制度は、主に市や区が実施している
- 不動産業やリフォーム業者に相談するのも有効なアプローチ方法
東京都の空き家の現況
平成25年度に実施された住宅・土地統計調査によると、東京都には都全体で「約82万戸」の空き家が存在しています。
これは東京都全体の住宅のうち、約11%を占める規模です。
統計情報によると、このうち「約60万戸」は賃貸用として空き家活用が進んでいる一方、いまだ「約15万戸」は長期不在・取り壊し予定の空き家として眠り続けています。
東京都内で空き家が多いのは?
東京都の空き家状況を「区市町村」別に比較してみましょう。
まず「住宅の空家数」を区市町村別に比較すると、下記の通り。
1位 大田区(6.2万戸)
2位 世田谷区(5.3万戸)
3位 江戸川区(3.8万戸)
大田区が首位に立ち、世田谷区、江戸川区と続きます。
また、「住宅の空き家比率」については、下記の結果となりました。
1位 豊島区(15.8%)
2位 大田区(14.8%)
3位 武蔵野市(14.1%)
豊島区や大田区は東京特別区でありながら、空き家率の多いエリアであることが判明します。なお、大田区は空家数及び空き家率の双方が高く、様々な空き家活用施策の実施が期待されています。
5年間で活用中の空き家が10万戸増加
統計情報によると、賃貸用物件として活用されている「元空き家物件」は、平成20年度と比較して「約10万戸」増加している状況です。
そんな東京都の空き家を眠らせておくのは、いかにも勿体ない話。立地環境を考慮した運用を行えば、眠っている空き家が大きな可能性を見せるかもしれません。
「うちの空き家は活用できるのかなぁ?」
とお考えのオーナーさんもいらっしゃるかと思います。
もちろん、実際に運用可能か否かは、実際に空き家を見てみなければわかりません。
「どうせウチの空き家は価値がない」と諦めず、一度不動産業者やリフォーム業者による「プロの目」に検討を依頼してみては如何でしょうか。。
東京都の具体的な空き家活用対策
東京都では直接的な支援はほとんど行っていません。
東京都が策定した空き家対策の施策は、市政や区政にて反映されています。
そのため、ここでは東京都がどのような視点や方針で、空き家対策を実施しているかを解説しようと思います。
東京都住宅確保要配慮者賃貸住宅供給促進計画
国が施行した改正セーフティネット法による「住宅確保要配慮者向け物件」に関する、東京都の住宅供給計画です。
同法の具体的施策は、地方自治体に裁量権が認められています。
東京都では、登録住宅の目標を2025年までに「3万戸」を目標に据えており、配慮者向け物件の実質的な緩和政策を実施。下記2点を設定しました。
- 住宅確保要配慮者の範囲を広く設定
→同法および省令で定められた者に加え、新婚世帯や原爆被害者、LGBTやUIJターンによる転入者、児童養護施設退所者等も対象に。 - 東京都の実情に応じた登録基準の緩和
→登録住宅における各戸の床面積25㎡を、着工年度により15㎡~20㎡の範囲で緩和することを決定。これによりシェアハウス等の基準も緩和。
空き家利活用等区市町村支援事業
東京都内の区市町村が実施する、実態調査や空家等対策計画の作成、改修費助成への補助等を行うことで、空き家の活用や適正管理を促す計画です。
東京都では下記の計画を策定し、区市町村の補助金・支援策を促進しています。
- 空き家実態調査への補助
… 空き家の実態を把握するための調査費用 - 空き家等対策計画作成への補助
… 空家等対策計画作成のための費用 - 空き家改修への補助
… 高齢者や子育て世帯への賃貸を想定した、バリアフリーや省エネ改修に対する補助金 - 老朽空き家除却への補助
… 跡地を公的に利用する場合の除去費用等を補助 - 専門家を活用した空き家相談体制整備への補助
… 区市町村が相談コーナーや相談窓口を設けるために必要な費用を補助
不燃化特区制度
地震や火災などの大規模災害に備えて、東京都内にある木造住宅密集地域の不燃化まちづくりを目指した制度です。
対象物件に対して、老朽家屋除却費用や建築設計費用を助成した上で、固定資産税等の減免措置を講じるなど、区政に対して、多様な支援策の導入を働きかけています。
参考不燃化特区の制度
まとめ
東京都では空き家や居住物件に対する各計画を立案することで、区政や市政が適切な補助政策を実施できるようにサポートしています。
直接補助金制度などを導入しているワケではありませんが、住宅確保要配慮者向け物件の基準緩和など、間接的に空き家の活用にアプローチしていると言えるでしょう。
このように東京都として直接空き家活用対策の施策を行なっているわけではありませんが、市区町村などの自治体をサポートする立場として活動しています。
都内に空き家を持っているので活用したいけれども、「各自治体との対応など面倒」と感じている方。
しっかりと空き家を活用して収益化するための専門家として、弊社でもアドバイスを行なっております。
ぜひ一度ご相談ください。