空き家を賃貸物件として活用するには、「入居者の方に住んでもらうこと」が必要です。
しかし近年の日本の住宅事情はオーナーさんにとって厳しく、賃貸物件は供給過剰気味。立地や環境に恵まれなければ、簡単に入居者が決まるものではありません。
そこで今回は、賃貸運用をご検討中の空き家オーナーさんに向けて、「低所得者・高齢者向け」の運用方法をご紹介。政府が実施している支援制度などもご紹介しようと思います。
空き家を取り巻く現実
空き家物件の活用は、決して簡単ではありません。
現代の日本は賃貸物件が余り気味な上に、人口減少の影響で「住み手」が不足しています。
また借主の多くは「築年数」を重視するため、築数十年の空き家物件はどうしても不利な立場に立たされるのが実情です。
空室リスクは、オーナーさんの最も大きな悩みの種。多くの空き家オーナーさんは、家賃などの引き下げやフリーレントによって対応を進めています。
~賃貸物件の現実~
- 人口減少の影響で住み手が不足
- 住み手の多くは築年数を重視
- 空き家のオーナーは家賃減額などで対応
公営住宅の不足
民間賃貸物件が供給過剰の動きを見せる一方で、公営住宅は全国的に不足の一途を辿っています。
公営住宅は(収入にもよりますが)割安な家賃で入居できるため、収入の少ない人や子育て費用のかかるファミリー世帯等にとって非常にありがたい存在です。
しかし現実には公営住宅の数が限られており、都市部では毎回抽選が行われています。「住みたい人がなかなか入居できない」状況にあるわけです。
実際低所得者や高齢者の方の中には、予算の問題からなかなか住まいを見つけることができず、困窮している方も少なくありません。
住宅セーフティネット制度が登場!
こうした問題を解決するために生まれたのが、今回ご紹介する「住宅セーフティネット制度」です。
この制度は増加が懸念される空き家住宅を「準公営住宅」として活用することで、低廉な家賃物件を求める人たち(住宅確保要配慮者)に供給を促進。両者の問題の解決を試みるというものです。
特にオーナーさんに対しては、「住宅改修に対する補助金」などの支援策を提供することで、空き家物件のリフォーム負担を軽減する施策も盛り込まれています。
~住宅セーフティネットの構図~
増加を続ける空き家物件 × 低廉な物件を求める要配慮者 = 住宅セーフティネットで解決を狙う!
参考日本経済新聞 空き家を「準公営住宅」に 国交省、子育て世帯支援
住宅確保要配慮者とは
住宅セーフティネット制度を利用するオーナーさんは、住宅確保要配慮者に向けて空き家を提供しなくてはなりません。
住宅確保要配慮者とは、「低所得者、被災者、高齢者、障碍者、子育て世帯」の合計5つです。ここでいう低所得者は、公営住宅法に定める政令月収が15万8,000円以下の世帯が該当します。
(省令において外国人なども定められている他、自治体の判断によって更に対象者を追加することもできるため、実際の範囲は自治体に確認が必要です)
また住宅セーフティネットに登録するためには、対象の空き家が一定の基準を満たしていなくてはなりません。
特に住戸面積や設備(台所、食事室、便所、浴室、洗面所等)が定められているため注意が必要です。
(ただし自治体の判断により、これらの規制は強化・緩和が可能です)
オーナーへの恩恵は?
住宅セーフティネット制度を利用することで、オーナーさんは政府から物件のリフォーム費用などについて支援を受けることができます。
また入居者には家賃・家賃債務保証料の低廉化措置が行われるため、オーナーさんにとっても賃料リスクの負担軽減に繋がり、経営の安定化支援を受けることが可能です。
家賃補助については自治体の裁量に委ねられている部分が大きく、東京都内での実現はまだ未定です。しかし今後の動向によっては、実施されるかもしれません。
~住宅セーフティネットの特徴~
オーナーへの空き家のリフォーム補助
入居者への家賃・家賃債務保証料低廉化支援
空き家バンクへの活用法
空き家バンクは、空き家のもう新たな活用法へと繋がるコンテンツの1つです。
地方自治体から委託を受けた業者が運営しており、福祉・医療関係団体や地域コミュニティ・移住希望者などに対してマッチングを担っています。
ご自身の空き家が地域のコミュニティや憩いの場として生まれ変わることから、運用そのものに喜びを感じているオーナーさんも少なくありません。
空き家対策特別措置法の施行に伴い、老朽家屋の放置は行政指導や税制面の不利など、オーナーさんにとって様々なデメリットを及ぼします。
「どうせ放置するならば…」空き家バンクを活用して、生まれ変わったご自宅を眺めてみるのも面白いかもしれません。
既に古民家カフェや地域イベントスペースなど、多種多様な活用方法が生まれています。
まとめ
空き家の増加が著しい日本では、積極的な活用が求められています。
特に公営住宅などを好む低所得者・高齢者層にとって、空き家は貴重な住居です。政府は住宅セーフティネットを構築することで、空き家の積極的な活用を促しています。
低所得者ら住宅確保要配慮者への住宅に回収する場合、政府による改修補助も受けられるため、空き家の運用にお悩みのオーナーさんにとって、1つの選択肢となるでしょう。
また空き家の利活用に関しては、空き家バンクによる普及促進も盛んです。古民家カフェやイベントスペースなど、魅力的に変貌する空き家を見て、喜びを感じるオーナーさんも少なくありません。