空き家活用が叫ばれる昨今、空き家の利活用に対して頭を悩ませているオーナーさんも多いのではないでしょうか。
それもそのはず。日本は世界有数の「空き家大国」と呼ばれるほど、たくさんの空き家物件を抱えている国なのです。
「なにか良いアイデアでもあれば…」と頭をひねっても、急に良い活用案は浮かびません。
そこで今回は、海外の空き家事情や活用方法をご紹介。日本でも広がりを見せているビジネスをご紹介しようと思います。
空き家大国「日本」
そもそも日本国内には、どれくらいの空き家物件があるのでしょうか?
国が5年おきに発表している住宅・土地統計調査によると、2013年度時点での日本の空家数はおよそ「820万戸・約13.5%」で推移しています。
これはアメリカやドイツなど、他の先進各国と比べても非常に大きな数値です。アメリカは約10%前後、ドイツやイギリスでは数%程度。
日本にはどれだけ空き家の多いのか、少し考えさせられてしまいますよね。
どうして日本だけ空き家が多いのか?
もちろん日本で空き家が増えている背景には、ちゃんとした理由が存在します。
日本の住宅は高度経済成長期に「質より量」で建てられたものが多く、住宅の質としては良いものではありません。また日本の中古住宅市場は海外と比べて未成熟なため、あまり流通しないという事情もあるでしょう。
更に言えば、日本人は総じて新築好き。ハウスメーカーも消費者も新築物件を好むため、中古住宅の再利用が選択肢に入ってこないと言えます。
日本で空き家が増えてしまう理由
- 人口減少の影響
- 耐用年数の低さ
- 日本人は新築好き
- 中古市場の未成熟
海外の空き活用例は?
では海外では、中古住宅をどのように扱っているのでしょうか。
欧米諸国は日本人と比べて中古住宅に対する抵抗がないので、単純な比較はできませんが、ほんの一例をご紹介しようと思います。
海外の空き家活用例
- 売主が改修する
- フリッパービジネス
- ドミトリー
- シェアハウス
売主が改修する
日本の空き家物件の多くは、そのままの状態で売りに出されています。
ところがアメリカの空き家の多くは、売主がリフォームして売却するのが普通です。理由は「その方が高く売れるから」。単純そのものですよね。
住宅購入を考える人は通常、誰しもキレイな住宅に住みたいと考えています。
築年数〇年という書類上の数字よりも、玄関やリビングの新しさやキッチンやバスルームの清潔さを重視するというワケです。
あなたはこんな家に住みたいですか?
- トイレやキッチンに水カビがはびこっている
- お風呂が狭く旧式。配管や配線が見えている
- 日焼けした畳にボロボロの内壁
フリッパービジネス
アメリカにはフリッパーと呼ばれる不動産会社が存在します。
フリッパー業者は空き家オーナーから可能性のある中古住宅を買い付け、リフォームを施した上で買主に対して物件を提供する業者です。
日本の商慣習の仲卸や仲買と少し似ているかもしれませんね。
フリッパー業者の多くは買主の視点に立ち、どのようなリフォームを施せば物件が売れるかを徹底的に調査・把握しています。
空き家流通に欠かせない存在として、オーナーと買主の橋渡しを担っているんですよ。
参考リフォーム産業新聞 日米のリノベーションビジネスの違いとは?
ドミトリー
ドミトリーとは、1つの部屋で複数の人を受け入れている宿泊施設です。
日本ではあまり馴染みがありませんが、海外では当たり前のようにビジネス展開されています。(バックパックでの海外旅行を経験したことがある方は、ご存知かもしれませんね)
ドミトリー利用者はコストを重視する傾向にあるため、物件の築年数や内装を気にしません。そのためオーナー視点では、リフォームコストを抑えつつ、高い収益が期待できる空き家ビジネスです。
外国人によるインバウンド収入の多い日本にとっても、魅力的なビジネスかもしれませんね。
シェアハウス
最近は日本でも浸透を見せているシェアハウス。当然海外でも盛んにビジネス展開されています。
日本のシェアハウスと比べて海外のシェアハウスは、国籍や文化の縛りが希薄です。
日本のシェアハウスは「20代限定」「日本人限定」などの縛りがあるのが一般的ですが、海外ではほとんど無条件で受け入れているシェアハウスも存在します。
中には1つの空き家物件に、10以上もの多国籍人種が混在している物件もあり、非常に多様性に富んでいます。
日本でそのまま適用するのは難しい面もありますが、アイデアとして活用する方が出てくるかもしれません。
まとめ
日本は世界的に見ても、有数と言って良い空き家大国です。
人口減少や住宅の質の低さなど、空き家が増えてしまう要因もたっぷり。国も何とかしようと、ようやく重い腰を上げたところです。
一方、海外では中古物件に対する消費者のハードルが低く、中古物件の市場は順調に流通を見せています。ドミトリーやシェアハウスなどのビジネス展開も著しく、多様な空き家活用が行われている状況です。
日本の空き家事情は、将来的には更に顕著になるでしょう。積極的な利活用が、将来の収益に繋がるかもしれません。