大田区の空き家件数は増加傾向にありますが、物件の需要も少なくありません。更に国や都は盛んに空き家対策を進めており、オーナーにとっては追い風です。
そこで今回は、大田区エリアの住宅統計情報や各補助制度をご紹介。大田区に空き家をお持ちの方に向け、様々な情報発信を行います。
Contents
大田区の政策の基本方針
大田区では平成27年より実施されている「空き家対策特別措置法」に基づいて、「大田区空家等対策計画」を制定。
空家オーナーに対して適正な管理や維持を推奨。必要に応じて相談コーナーを設けることで、問題解決に向けオーナーととも課題に当たる考えです。
また、大田区では「大田区空き家等地域貢献活用事業」や「初期整備費用助成制度」などを導入。空き家の活用や改修を促しています。
大田区の空き家の現況
平成25年度に実施された住宅・土地統計調査によると、大田区の空き家は「6万1790戸」です。これは大田区の住宅合計数「41万6610戸」のうち、約14.8%を占めています。
なお、平成20年度の大田区の空き家合計数は、およそ「4万4000戸」。空き家件数は着々と増加しており、空き家トラブルは増加しつつあると言って良いでしょう。
また、大田区の空き家物件のうち、「5360戸」は賃貸や居住等の用に供されていない「その他物件」です。空き家全体の中では約8.67%にすぎませんが、まだまだ活用方法が模索されている物件も少なくありません。
大田区の具体的な空き家対策
それでは、大田区の具体的な空き家対策を確認してみましょう。大田区では様々な施策を実施しているため、お持ちの物件に適用できる制度があるかもしれません。
改修に関する政策
大田区の物件が対象となる空き家や住宅の改修に対する政策です。
大田区住宅リフォーム助成事業
「自己の居住する」物件に対して、要件を満たすリフォーム工事に補助金を支給する政策です。
制度の概要
- 対象工事は?
→区内中小事業者に発注するもので、バリアフリーや防犯防災、住宅寿命の長寿化等を目的としたリフォーム工事 - どんな住宅が対象?
→市が求める要件を満たし、自己の居住に供されている住宅 - 補助金の額は?
→上限は10万円~30万円。工事内容により変動します
解体に関する政策
大田区の物件が対象となる、空家の解体に対する支援事業や補助金政策です。
不燃化特区制度
不燃化特区制度は、東京都が推し進める「木密地域不燃化10年プロジェクト」を受け、大田区の特定エリアの防災を目的として実施される、除却および建築に関する助成金です。
木密地域不燃化10年プロジェクトの各助成・補助制度
- 壁面後退奨励金交付(内容により最大30万円~50万円)
- 戸建て・共同建替え助成(耐火建築物は最大200万円、準耐火は最大150万円)
- 共同建替え助成(耐火建築物は最大1050万円、準耐火は最大950万円)
- 老朽建築物除却助成(内容により最大100万円~最大150万円)
- 特定整備路線老朽建築物除却助成(最大1300万円)
- 専門家派遣支援
- 不燃化特区支援税制(都市計画税および固定資産税を5年間減免)
不燃化特区内であっても、制度ごとに対象となるエリアや条件が異なります。
また、制度のうち実質セットとして運用するものも多く、制度の利用を検討する場合は、自己の物件がどの助成制度に該当するか把握する必要があります。
参考不燃化助成(大森中・糀谷・蒲田地区 都市防災不燃化促進事業)|大田区
その他空家対策に対する政策
大田区の物件が対象となる、空き家活用に対するその他の支援政策です。
空家総合相談窓口
維持管理はもちろん、賃貸や売買、相続に至るまで、多様な相談を受け付けているサービスです。
後述の大田区空き家等地域貢献活用事業とのマッチングも進めており、空き家の活用に悩んでいる方に推奨されています。
参考空家総合相談窓口、空家総合相談会|大田区
空家総合相談会
月に1度のペースで実施されている相談会です。建築や法律、不動産・福祉など各専門家が相談を受け付けています。
参考空家総合相談窓口、空家総合相談会|大田区
大田区空き家等地域貢献活用事業
大田区内にある空き家を貸したい方と、空き家を「公益目的で」借りたい方のマッチングを支援する事業です。(有料賃貸)
大田区空き家活用相談窓口が仲介に入り、紹介を進めますが、契約そのものに区が関与することはありません。
そのため、賃貸物件の仲介に強い不動産屋さんと協議すると心強い制度です。
参考貸したい方へ|大田区 空家活用情報
まとめ
大田区は空き家対策の相談や助成・補助を進めているものの、空き家件数が増加傾向にある地域です。
また、大田区は同時に「特定空き家の解体実績」を有するエリアでもあり、危険な空き家を放置していると行政措置の対象となりかねません。
都や区の助成・補助金を活用しつつ、空き家の活用を目指したいと考えているオーナーさんは、住宅の専門家や専門機関と相談することをオススメします。
また、しっかりと空き家を活用して収益化するための専門家として、弊社でもアドバイスを行なっております。
色々な部署とのやりとりが面倒な方は、ぜひ一度ご相談ください。
2015年5月26日に施行された「空家等対策特別措置法」では、『特定空家等とは、そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態、その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあると認められる空家等をいう』とされています。
引用特定空き家とは-NPO法人 空家・空地管理センター