「空き家対策特別措置法」や「改正セーフティネット法」の影響を受け、日本全国で空き家の活用が注目を集めています。
東京都でも様々な施策が導入されるなか、人口728,479人(平成30年1月1日現在)東京都23区内で2番目に人口の多い練馬区はどのような対策を実施しているのでしょうか?
今回は練馬区の空き家の現況を確認し、主な空き家活用政策を紹介しようと思います。
参考練馬区の人口:住民基本台帳による東京都の世帯と人口(町丁別・年齢別)
Contents
練馬区の政策の基本方針
練馬区では「みどりの風吹くまちビジョン」を策定し、その中で空き家の活用について方針を示しています。
「安全・快適な都市の実現」に向けて、空き家対策特別措置法による空き家の適正な管理や、いわゆる木密地域の不燃化計画、更に空き家活用の需要と供給のマッチングなど、多方面で支援を行う計画です。
練馬区の空き家の現況
平成25年に実施された住宅・土地統計調査によると、調査対象となった時期の練馬区の空き家総数はおよそ「3万6150戸」です。
練馬区の住宅総数はおよそ「38万戸」であり、空き家率は9.5%で推移しています。これは、全国の空き家比率である「13.5%」や東京特別区の空き家比率「11.2%」と比較すると低い水準です。
つまり、練馬区は空き家が少なく、土地や建物の需要が盛んな地域と推定できます。
練馬区の老朽化物件は?
練馬区では、空き家に対する区民の不安を訴える声や、空き家対策特別措置法の施行に伴い、区内の公共施設を除く民間施設合計148,713棟に対して老朽化調査を実施しています。
その結果によると、練馬区内の物件のうち、自治体は「905棟」が何らかの老朽化兆候が見られる物件と判定。
中でも特に危険な「韜晦や外装材等の飛散や落下など、損傷が著しいもの」と判定された物件はなんと211棟。現在、または将来的に「特定空き家」としてみなされる可能性のある物件が確認されています。
また、練馬区によると、外側からの目視でそれとわかる「ごみ屋敷」が30棟ほど確認。
仮に該当物件が放置空き家である場合、何らかの措置を講じなくては近隣トラブルに発展しかねないと推定できる状況です。
所有者も対処に困る
なお、練馬区が空き家と判定した建築物について、登記簿から所有者に対してアンケートを実施したところ、多くのオーナーは「どのように対応したらよいのか不安に思っている」と回答しています。
損傷の著しい空き家を放置すると、いずれ「特定空家」として行政的な措置の対象となりかねません。
練馬区の具体的な空き家対策
それでは、練馬区の具体的な空き家対策を確認してみましょう。
改修に関する政策
練馬区物件が対象となる空き家や住宅の改修に対する政策です。
住宅修築資金の融資あっせん
練馬区では区内の住宅の修繕や増築に対して、リフォーム費用の融資を行っています。
利用にあたっては所得制限や税金滞納の有無など、複数の要件を満たさなくてはなりません。
制度の概要
- 対象工事は? → 基礎、土台、内外壁、床、浴室など
- どんな住宅が対象? → 練馬区内にある175㎡以下の建物
- 貸付額の額は? → 10万円~500万円
住宅セーフティネットに伴う助成金は?
練馬区では、改正セーフティネット法に伴う「住宅確保要配慮者専用住宅改修事業」について、区独自での補助金制度の導入は行っていないとのことです。
ただし、「セーフティネット住宅情報提供システム」への登録は東京都が行っており、練馬区の物件を「住宅確保要配慮者の入居を拒まない」住宅として提供することは可能です。
また、国が実施している事業案内も存在します。
詳しくは弊社までお問合せ下さい。(平成29年度の公募は終了しました。平成30年度は現在のところ未定です)
解体に関する政策
練馬区の物件が対象となる空き家や住宅の解体に対する政策です。
密集住宅市街地整備促進事業
老朽化が著しい住宅エリアにおいて、住環境の整備を行い災害に強いまちづくりを行う助成金制度です。
練馬地区では既に募集が終了しました。
参考密集住宅市街地整備促進事業|練馬区
その他に関する政策
練馬区の物件が対象となる空き家や住宅のその他の政策です。
空き家相談窓口
東京都の方針により策定された制度です。
空き家の活用をめぐって、不動産や税金、相続に詳しい専門機関らと「練馬区における空き家等の対策に関する協定」を締結。
空き家の売買や賃貸はもちろん、その他の活用方法まで、幅広く相談を受け付けています。
空家地域貢献事業
空家地域貢献事業は、練馬区の「空き家対策計画」の一環として実施された制度です。
公益的な目的を持つ町会、自治体、非営利法人等に対して、空き家物件を提供することができる制度です。(ボランティアではなく、賃料の徴収が行えます)
空き家のオーナーさんは、「空き家所有者」として練馬区に物件を登録することで、練馬区担当部署が上記の公益目的の団体に対して物件をマッチング。
空き家を地域貢献と活用の両面で使うことが可能です。
参考【2017年3月30日】空き家の有効活用に向けて「空家地域貢献事業」を開始します!(事前のお知らせ)
まとめ
東京都練馬区は東京特別区の中でも空き家率が低く、住宅需要の高いエリアです。
練馬区に物件には、様々な活用例があります。使途の定まっていない空き家をお持ちのオーナーさんがいましたら、一度活用を検討してみませんか?
不動産業者ならではの独自ノウハウを活かし、ご満足いただける提案を行うことを心がけています。お気軽にご連絡下さいませ。
2015年5月26日に施行された「空家等対策特別措置法」では、『特定空家等とは、そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態、その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあると認められる空家等をいう』とされています。
引用特定空き家とは-NPO法人 空家・空地管理センター