高齢者向け住宅は、サ高住※をはじめとして様々なものが存在します。
日本は現在深刻な高齢化社会にあり、高齢者向け住宅の注目度は必然的に高いもの。空き家の活用にお悩みのオーナーさんからも関心を寄せられています。
折しも日本の住宅事情は「空き家あまり」の状態です。空き家の活用は全国的に望まれていると言えるでしょう。
そこで今回は、「空き家を高齢者向け住宅として活用したい!」とお考えのオーナーさんに向けて、メリットや活用事例をご紹介しようと思います。
Contents
空き家の現状
政府発表の統計情報である「平成25年住宅・土地統計調査」によると、平成25年10月1日時点での住宅数は全国でおよそ「6,063万戸」。
居住世帯のない住宅のうち実質的に空き家と推定できる物件は全国でおよそ「820万戸」となりました。
前回調査である平成20年時点(住宅約5,759万戸、空き家約757万戸)と比べると、住宅総数及び空き家数の双方が伸びています。また、空き家比率は13.5%を記録し、平成20年度調査時点と比べて0.4%増加。
現在の空き家比率は過去最高水準である点も考慮すると、「空き家は今後も増加し続ける」と言えそうです。
高齢者の住まいの特徴
サ高住をはじめとした高齢者向け物件は、義務・任意に関わらず、総じて高齢者向けの設備やサービスを導入しています。
制度的に義務付けされている設備・サービス以外は、「どんなサービスをどのように提供するか?」は空き家オーナーさんの思惑次第。ニーズに沿った魅力的な空き家活用を行えば、物件の価値は更に輝きを増すでしょう。
手すりの設置・段差の排除
高齢者にとって事故やケガの原因となりやすい、段差を排除し、手すりを設置するリフォームです。高齢者向けの住宅として当然求められる要素なので、義務・任意に関わらず、多くの方が改修を行います。
床素材の変更
床素材を滑りにくいものに変更し、転倒事故を防止するリフォームです。お部屋やリビングだけでなく、浴室や玄関のタイルもノンスリップタイプに変更できます。
ドアの取り換え
引き戸は車いすの方でも開閉が容易なため、特に人気のあるリフォームです。想定する入居者の状態に合わせ、適切なドアを選択します。
照明器具
高齢者の方は視力にも衰えが見られます。明るい場所を暗いと感じたり、眩しいものをより眩しいと感じることも。また、青色や緑色を認識する能力が低いため、照明の選定は重要です。
廊下や間取り構成も
高齢者向け住宅では廊下や通路は幅広く、生活は同一階で過ごせるように間取り構成します。廊下の移動や階段の昇降に困難が生じても、生活利便性を損なわないようにするための配慮です。
空き家を活用するメリットデメリット
高齢者向け住宅として空き家を活用する場合の、メリットとデメリットを確認しましょう。ただし、高齢者向け住宅には様々なバリエーションが存在するため、ここではその概要をお伝えするに留めます。
詳しくは土地活用に詳しい不動産会社に相談することをオススメします。
高齢者向け住宅のメリット
高齢者向け住宅のメリットは以下の通りです。
- 補助金・助成金が豊富
… 多くの自治体では、「サ高住」や「要配慮者物件」など改修時に補助金・助成金を提供しています。 - 郊外にも需要がある
… 高齢者向け物件は一般的な物件と比べて、都心以外の立地にも需要があります。 - 多くの需要が見込める
… 高齢者は今後も増加するものと見られるため、高齢者向け住宅の物件は将来的にも高い需要が見込めます。
高齢者向け住宅のデメリット
高齢者向け住宅のデメリットは以下の通りです。
- 法的な制約が厳しい
… サ高住や有料老人ホームでは、サービス内容や改修内容などに一定の制約が求められます。 - サービス拡充にコストがかかる
… 食事供与や訪問介護などのサービスを試みる場合、(内容によりますが)コストが求められます。 - 支援制度を知らないと損をする
… 各種助成金や改修補助金制度を知らない場合、リフォームコストが高く損をします。制度に詳しい不動産業者へのご相談をオススメします。
活用モデル事例
空き家やアパートを高齢者向け物件として活用した事例をご紹介します。
空き家を高齢者向け賃貸物件へ
ごく普通のアパートをお持ちのオーナーさんが、敷地面積の広さを活かして高齢者向け賃貸物件へと活用したモデル事例です。
主に室内の内装や設備にこだわったリフォームを行い、
- 廊下やトイレ、浴室等に手すりを付ける
- 段差のないフラット床へと改修し、車椅子での出入りを可能に
- IHコンロを導入して消し忘れによる火災リスクを低減
- 24時間対応の見守り・緊急コールシステムの導入
などなど、高齢者に優しい住宅へと改修工事を行いました。内装をキレイにするだけでなく、高齢者に配慮したことで、想定していた以上の空室対策効果を実現。
現在は全室満室で、大きな満足度を得ています。
空き家を高齢者シェアハウスとして活用
ご自身も高齢者であるオーナーさん夫婦が、敷地面積2,500坪にも及ぶ郊外の空き家を高齢向けシェアハウス物件として活用した事例です。
リフォーム時には「高齢者同士が協力しあえる物件」を目標に、不動産会社と相談して空き家活用を決断。
- 徹底したバリアフリーを意識。段差や手すり、浴室等に配慮
- 他の高齢者向け物件では成し得ない低賃料を設定
- 病院への手配など、怪我や病気時の緊急対応
- 自主活動を充実させることで、住民同士が共同連携
などなど、多彩なサービスを提供することで、シェアハウスとして高い支持を得ています。
まとめ
高齢化が著しい日本社会では、高齢者に向けた物件は高い需要が見込めます。
また、通常の物件と比べて郊外の空き家にもチャンスがあるので、「郊外だから無理かな…」と諦めていた物件を活用する方法としては適しているでしょう。
ただし、高齢者向け住宅の中でも「サ高住」や「有料老人ホーム」では、法的な規制を満たさなくてはなりません。
お持ちの空き家物件と相性が合わない場合は、規制が緩やかな「高齢者向けシェアハウス」などの利用を検討しては如何でしょうか。
「サ高住」とは、「サービス付き高齢者向け住宅」の略で、民間事業者などによって運営される介護施設のこと。
「サ付き」などと略されることもある。公的な介護施設(特別養護老人ホーム等)の需要が高まり入居待ち問題が発生している中で、民間による介護施設の充実という点で、大きな期待が寄せられている。