今回は、ご両親から譲り受けた事務所(テナント)が古くなってしまったことにお悩みのN様にご相談頂いた事例を紹介いたします。
また、当社では下記のような記事も整理していますので、高齢者向けの住宅への活用をお考えの方は、こちらも参考になればと思います。
参考空き家を高齢者向け住宅に活用するメリット!事例から考える実施のポイントと注意点
Contents
ご相談者様のお悩み内容
- 両親が事業に使っていたテナント(1階建)を活用したい
- 機材が散乱しており賃貸が困難
- 立地が悪く商店には向かない
- 特定の用途は決まっていない
ご相談の内容
今回のご相談者様は、ご両親が使っていた空き家状態のテナントの活用をご希望でした。
ご両親は昭和中期に、福祉系施設(介護施設など)として事業を行っていたとのこと。しかし、現在は需要の低下やご両親の他界に伴い事業は解体。
ご相談者様がテナント物件のみを相続している状態です。
ところが、テナントには固定資産税がかかるため、そのまま抱え続けるのは大きな負担。そこでご相談者様は、弊社と協議した上で活用方法を見出したいとのことでした。
空き家の現状は?
該当物件は築50年程度のかなり古い物件です。
周囲に目立った施設は無く、人通りも少ないエリア。住宅もまばらで大半が遊休地といった有様なので、売却しようにもあまり高い金額は見込めません。
また、内部は過去の事業の名残が濃く、ベッドや機材、事務用品等が散乱しています。ガラスが割れて内部に雨が降り込んでおり、カビが繁殖している状態。
そのままでは賃貸物件としての魅力にも難がありました。
解決に至るまでの状況/解決方法
今回のご相談者様は、賃貸による収益物件化をご希望です。
ご自身で事業を起こされる意思もなかったため、弊社と契約して借主を探す方向で話がまとまりました。
ただし、該当物件があまりにも古く、内装の状態も悪いので、「リフォームを通じて魅力的な物件にしたい」とのこと。
そこで弊社と協議の上で「スケルトンリフォーム」を行うことになりました。
スケルトンリフォームとは?
スケルトンリフォームとは、今回のような空き家状態のテナントの内装を取り剥がし、基礎的な構造だけの状態に戻す工事です。
そのままでは事業に用いることができませんが、入居者が自身の意図に従い、思い思いのスタンスに従って内装を調整できる利点を有しています。
また、オーナーは内装リフォーム費を負担しないので、コスト的な負担を抑えられる点もメリットでしょうか。
原状回復契約を締結することで、退去時は入居者側の負担で元の状態に戻してもらうことも可能です。
なお、スケルトンリフォームは、下記の様な入居者が想定されます。
- コンビニ向けの設備を取り付けたい
- 介護施設として活用したい
- コンセプトカフェといてリフォームしたい
耐震や耐火設備を補強
スケルトンリフォームは、特定のコンセプトを持たずに行う工事です。
しかし、今回のご相談者様の物件は耐震や耐火設備に難があり、そのままスケルトンにしただけでは、とても需要が見込めそうもありません。
そこで弊社は、基礎的な構造部分に耐震補強を行うと同時に、壁面素材を防火性の高いものに変更するよう提案。更に石綿やアスベスト等の調査を実施することで、テナントとしての付加価値を高めました。
なお、耐震工事には様々なものがあります。
しかし、いずれの工事が物件に適しているかは、実際に内覧確認してからでないと分かりません。必ず信頼できる業者にご相談の上で決定することをオススメします。
耐震工事の代表例
- 接合部の金属補強
- 開口部や筋交いなど壁面の補強
- 建物の基礎の補強
介護施設の入居紐づけ
今回のテナントは立地条件的に、商用設備としては向きません。
しかし、介護施設や高齢者向け施設では、むしろ閑静な立地は好ましい物件です。
実際、弊社担当者が管理物件として独自ルートの手配を行ったところ、すぐに介護事業主様より該当物件に対して「強い興味がある」との連絡が入りました。
事業主様からヒアリングを行ったところ、
- 物件の条件が介護施設向け整っている
- 耐火耐震に加えてシックハウス対策も成されている
- 物件基礎が整っているのでリフォーム費用を抑えられる
- 居抜き物件と比べて自由度が高い
などの条件から、即物件候補にのし上がったとのこと。3か月で入居条件も無事まとまり、工事完了直後からテナント入居の話が決定しました。
ご相談者様の声
スケルトンリフォームを行ったところ、あっという間に介護施設との契約がまとまり、とても嬉しく思っています。
テナント物件を負担に思いつつ、特定の用途が定まっていなかったので、今回のようなご提案をいただけ本当に助かりました。
入居している介護事業主様との間では長期契約が済んでおり、安定的な収入が得られています。
関東の物件なので数十年後には事情が変わっているかもしれませんが、退去後は原状回復(元の状態に戻す)が行われるよう特約を結んでいるので、子や孫の代にはまた別の運用も可能でしょう。
まさに、ただの空き家物件が一族の資産となった感覚。大希企画さんには物凄く感謝しています。
担当者の一言
スケルトン物件は自由度の高さから、各種サービス業に好まれやすい物件です。
特に前の事業主が倒産している場合などでは、近隣の住民も物件に対して良いイメージを持っていません。
内装を少し変えただけではお客さんが寄り付かないので、ガラリと変えられるスケルトンリフォームは、非常に需要の高いリフォーム手段です。
今回は福祉系施設から介護施設への転用となりましたが、ビフォーアフターはまるで様相が異なっています。
事業の方も大変な賑わいを見せており、「win-win」の好例と言えるでしょう。