今回は、お仕事の転勤を理由に、以前のお住まいが空き家になってしまったS様にご相談頂いた事例を紹介いたします。
また、当社では下記のような記事も整理していますので、高齢者向けの住宅への活用をお考えの方は、こちらも参考になればと思います。
参考空き家を高齢者向け住宅に活用するメリット!事例から考える実施のポイントと注意点
Contents
ご相談者様のお悩み内容
- 自宅から遠い空き家の運用に悩んでいる
- 賃貸に出しているが借り手との条件が折り合わない
- コストを抑えつつ高収益・安定性が見込める運用を行いたい
ご相談の内容
今回のご相談者様は、転居前に居住していた空き家の運用に関してお悩みです。
物件は関東圏に所在するものの、現在の事業所からは遠く、現在はローンで購入した神奈川県のマンションにご家族でお住まいとのこと。
ただし、現状子育てをこなしつつローンの返済に追われる状況。そこで、自宅を賃貸物件として活用することで、ローンの支払いにあてたいとご希望です。
なお、ご相談者様は他社の不動産会社と契約して入居付を試みたものの、家賃等が折り合わず、結局一度もご入居がないとのことです。
空き家の現状は?
空き家物件は、築25年程度の木造住宅です。
スーパーや医療機関が近く生活に大きな問題はありませんが、保育施設や小学校等が非常に遠く、ファミリー世帯向けの立地環境としてはやや不利な物件。
戸建て住宅は主にファミリー世帯に需要のある建物なので、家賃が折り合わない事情は、このあたりが痛手になっているものと考えられます。
しかし、ご相談者様は家賃や収益性に最低ラインを引いており、「より効率の良い運用方法を」とのご希望。介護施設など高齢者向けの運用も視野に入れて、活用方法を模索する形となりました。
解決に至るまでの状況/解決方法
ご相談者様と協議を進めたところ、最終的に「住宅セーフティネットを利用した高齢者向け物件」としての運用でまとまりました。
高齢者向け物件は医療機関や生活施設が整っているほど好まれ、やや閑静な立地でも需要があります。
また、高齢者物件はファミリー世帯のように児童施設が必要ないため、今回の物件としては最適です。
シェアハウスとしての運用
収益を重視する場合、戸建て住宅を賃貸物件と運用するより、シェアハウスとして運用した方が圧倒的に効率的です。
内装等を大きく改修する必要がありますが、面積当たりの単価が高いので収益性は抜群。
更に現在は住宅セーフティネット法の改正に伴い、住宅確保要配慮者(高齢者など)向けのシェアハウス改修は助成対象です。
これらの点を踏まえて見積もりを出すことで、計画の実現へと移行します。
介護施設を意識したバリアフリー施工
高齢者が入居者の中には、「退院後の転居先に困っている」というケースが少なくありません。
そのため、高齢者向けシェアハウスにバリアフリー構造は不可欠。介護施設や医療機関と変わらない生活環境を提供できなければ、「住みにくい」と感じてしまうからです。
手すりやスロープ、段差の排除や引き戸の導入などは、やはり重要なリフォームです。
実施リフォームの代表例
- 手すりやスロープを設置。段差を排除して移動面の負担を軽減
- 床や壁は滑りにくく、ケガをしにくいクッション性のあるものを使用
- 視力が低下しても認識しやすいように色使い等も調整 など
家族のような一体感
孤独に対する配慮は、高齢者にとって切っても切れない要素です。
主にサービス面でのアプローチが重要ですが、リフォームにもできることは少なくありません。
「個」を尊重しつつ家族のような一体感を得るために、リビングやキッチンを広く作り共同作業ができるように施工を行い、お庭は畑としてガーデニングを楽しめるように作り変えました。
- リビングやキッチンを広く作り共同作業を可能に
- 庭を畑として整え、ガーデニングを楽しめる環境に
- サービス拡張を想定してレクリエーション室を設置
高齢者向けシェアハウスには、既存の高齢賃貸アパートのような寒々しさがありません。また、入居者全員が家族となれる、素敵な生活空間を作り出すことが可能です。
現状は助成金対象でもあるので、ビジネスとしても社会貢献としても、魅力的な運用方法となりつつあります。
ご相談者様の声
運用開始直後から、入居者が溢れ満室状態です。
住宅確保要配慮者物件として運用していますが、入居を拒まれないという安心感からか、多くの問い合わせが殺到しています。
具体的な運用面は管理会社に任せているのですが、毎月上がってくる収益は想像以上。戸建て住宅を値下げして賃貸に出すより、3倍以上の粗利が出たから驚きです。
また、管理会社を通じて入居者様から感謝の声を頂くようになりました。お手紙は1通1通丁寧に読ませていただいておりますが、目を通すたびにこの選択が正しかったと実感しています!
魅力的なご提案を頂き、本当にありがとうございました!
担当者の一言
シェアハウスと聞くと若者向けのイメージが先行しますが、高齢者向けに作られた物件も少なくありません。
通常の賃貸物件と比べて住民同士の距離が近いシェアハウスは、高齢者こそ相性が良いという声もあるほどです。
改修や家賃補助(現時点では未実施)が受けられる住宅セーフティネットと併用することで、費用負担を軽減しつつ安定的な収益実現も不可能ではありません。
立地環境や物件の状態にもよりますが、選択肢の1つとしては有力です。