今回は、ご親族から受け継いだ築140年という住宅、その住宅が空き家になったままとなっていたのでカフェに活用したい!というM様にご相談頂いた事例を紹介いたします。
カフェに活用した事例です。
また、当社では下記のような記事も整理していますので、カフェへの活用にご興味をお持ちの方は、こちらも参考になればと思います。
参考空き家活用で念願のカフェ経営!事例から考える実施のポイントと注意点
Contents
ご相談者様のお悩み内容
- 「古民家」カラーを前に出したい
- 100㎡内のコンパクトなカフェに仕上げたい
- 柱や梁などできるだけ残したい
ご相談の内容
祖父から譲り受けた空き家を活用して、カフェとして利用したいというご相談です。
ご相談者様は空き家の活用方法として「地域のコミュニティとなる古民家カフェ」を検討されており、日本家屋の良さを活かしたものに仕上げたいとのこと。
驚くべきことに、ご相談者さまによると物件はなんと築140年にもなる伝統家屋。屋内は立派な梁や柱、棟木に支えられている様子です。
内壁や床板の損耗は激しいが、「梁や柱などはできるだけ残したい」とのご要望でした。
空き家の現状は?
首都圏の物件で築140年の建築物は、そうあるものではありません。
弊社スタッフも期待に胸を膨らませて訪れると…そこには800m2はある大きな敷地と複数の住宅が。ご相談者様らは代々この敷地を守られており、現在は数年前に新築した邸宅に住まわれているとのことです。
さて、今回リフォームの対象となった物件は、大きな瓦と立派な柱が印象的な日本家屋。柱や梁はケヤキはヒノキの無垢心材のみを使用しており、独特の存在感を放っていました。
ご相談者様によると、昔は茅葺屋根だったそうですが…戦前の防火制度により瓦に切り替えたと伝え聞いているとのこと。なるほど、瓦1枚を取っても年月を感じさせます。
ただし、屋内は手を加える必要性を十分に感じさせるものでした。内部は床板が剥がれ、壁が一部崩落している状態。更にキッチンやトイレ等の設備も古く、現在の法制度に適合させるには、困難が伴いそうなものばかりです。
更に現在は物置として使用しているらしく、年代物の機織り機や足踏みミシンなどが雑多に置かれている状態。これらを整理し、インテリアとして活用することも、今回のお仕事の1つです。
解決に至るまでの状況/解決方法
一般的に古民家をカフェとして転用する場合、多くの手続きや工事を行わなければなりません。更に今回は築140年にも及ぶ伝統家屋である影響で、多くの建材が廃材となってしまいました。
ただし、ご相談者様は柱や梁、棟木などは同じ雰囲気のものを残したいとのご要望。そこで部材補修や耐火補強を駆使しつつ、可能な限りご相談者様のご意向に沿えるように工夫して加工を行います。
☆実施した主なリフォーム内容
- 崩落した壁面等を撤去して断熱性に優れた最新素材を使用
- 「夏は涼しく冬は暖かく」をテーマに採光・開口・喚起部分を変更
- 100㎡以内を厳守したコンパクトなカフェ空間
- 徹底した耐震・耐熱補強
- 梁や柱、棟木などはできるだけ部材補修で対応
弱点となる断熱性を重視
日本家屋の弱点は、なんといっても「断熱性の低さ」です。
旧来の素材はあまり断熱性の高いものがありませんし、間取り構造も冬の寒さを意識したものではありません。
そのままカフェに転用すると「お客さんが寒いと感じる」デメリットが生じます。無論、暖房で補うという手段もありますが、暖気は高いところに集中するため、どうしても足元が冷えてしまうものです。
そこで弊社は、断熱材を随所に使用して保温性を高めると共に、暖房の設置位置や間取り構造を大きく変更。構造部分から手を加えることで、足元までしっかりと暖かくなるよう工夫を凝らしました。
廃材を装飾に再利用
ご相談者様は、古民家カラーを前に出したカフェを検討されており、廃材の一部を利用したいとのご希望でした。
そこで、飾り棚や壁面、装飾など随所に廃材を盛り込むことで、技術と伝統を絶妙にミックス。機織り機や足踏みミシンなども、解体して一部をインテリアとして加工しました。
最新技術で暖かく過ごしやすいカフェ空間を演出すると共に、壁や柱、建材に用いられた伝統家屋の息遣いを表現。
ご相談者様だけの「古民家カフェ」が演出できたものと考えています。
ご相談者様の声
イメージ通りの古民家カフェが出来て、とても嬉しく思っています。
当初は壁や天井を修理して設備を一新することだけが頭にあったのですが、大希企画さんの方から「冬は寒い構造」など、プロならではの意見をいただけて助かりました。
思えば昔から「この家は冬は寒いな~」と感じていたのですが、それが構造によるものとは思い至らず、目からウロコが落ちる思いです。
ともあれ、日本家屋の雰囲気を壊さないまま、暖かく過ごしやすいカフェ空間を作っていただけ、とても満足しています。
また、廃材をインテリアに使用したいなど、細かな要望も聞いていただけ、すごく助かりました!
担当者の一言
伝統的な日本家屋をリフォームすることになり、弊社としてもとても貴重な経験となりました。リフォーム中に様々な建材を目にしましたが、どれも大切に使われてきたことが自然に伝わる、木のぬくもりに満ちたお家です。
古民家にはそれぞれの味があり、個性を活かしたリフォームが最適です。弊社はお客様と共に、古民家の良さを引き出すことに注力しております。
空き家の活用にお悩みの際は、是非お気軽にご相談下さいませ。皆様からのご連絡、スタッフ一同お待ちしております。