東京都内はもちろん、日本全国で空き家の活用が強く求められています。
空き家戸数は年々増加傾向にあり、管理不十分な空き家の倒壊リスク等が社会問題化。いわゆる「空き家余り」の問題が浮上します。
政府はこの問題に対して、空き家に対する規制措置を取ると同時に、空き家の活用や適正管理を促進。様々な助成金や補助金制度を導入しました。
当然、政府のこの動きは「空き家をなんとかしたい!」とお考えのオーナーさんにとって心強い追い風。現在、空き家の活用に様々なチャンスが巡っています。
空き家活用の5つのアイデア
シャエハウスや民泊経営、除却工事の上で駐車場経営など、空き家の活用方法はアイデア次第で様々なものが挙げられます。
ここでは、それらのうち代表的なものの概要をご紹介します。
シェアハウス
近年のトレンドであるシェアハウスは、空き家活用のアイデアとして良い選択です。
コンセプト次第で多彩なニーズに対応
間取り変更も含めたフルリノベーションはもちろん、内装や設備だけを改修したコスト重視のリフォームにも対応。
コンセプトリフォームを行うことで、想定ユーザー層は自由自在。立地環境に合わせた多彩なニーズに対応することが可能です。
安定的で収益性が高い経営スタイル
シェアハウスはバスルームやキッチンが共有性なので、「物件あたりの戸数」を増やして収益効率をアップすることも可能です。
賃借人ごとに契約を締結するため、ただリフォームして賃貸に出すより経営も安定します。
シェアハウスを始める際に空き家活用するメリット!
事例から考える実施のポイントと注意点
介護施設
介護施設は高齢化による社会的ニーズに対応した活用法です。
多彩な補助金や助成金・税制優遇
社会的な要請が強いため、改修にあたって様々な助成を受けることが可能です。また、税制を優遇する措置も取られており、負担軽減に繋がります。
郊外立地にもニーズがある
通常の入居者からは敬遠される郊外物件も、介護施設では一定のニーズがあります。
施設が多様・法規制が厳しい
介護施設は種類が多く、それぞれ法的な規制が厳しいため、一般的な空き家物件ではどうしても活用方法が限られてしまいます。
空き家を高齢者向け住宅に活用するメリット!
事例から考える実施のポイントと注意点
保育施設
保育施設への活用は、介護施設同様に社会的なニーズの強い施設です。
補助金や助成金が充実している上に、家庭的保育事業など小規模な経営スタイルも多いので、比較的導入しやすい点が特徴です。
各種補助金・助成金による支援
様々な補助金や助成金制度が存在します。
保育事業者に物件を賃貸して活用する方法もあれば、空き家だけでなくアパートを改修して事業を開始する方もいます。
利益率が高く安定する
入園・入所した児童は、基本的に数年間利用し続けるので、経営スタイルとしては安定が期待できます。
保育園不足解消!空き家を活用するメリット!
事例から考える実施のポイントと注意点
ホテル
民泊ブームの流れに沿い注目を集めているビジネスです。民泊は通常の利用者の他に、外国人からの利用者なども期待できるので、様々な可能性を秘めています。
民泊新法が制定
従来民泊は法的に違法状態となる可能性が指摘されていましたが、2017年に民泊新法の成立し、法的な立ち位置が明確化されました。
いわゆる旅館業法よりも様々な面で緩やかなので空き家を活用しやすく、リフォーム次第で非常に魅力的な物件へと変貌します。
カギを握る営業日数制限
民泊は原則として年間180日の営業日数制限が課されます。
最大限収益を得るためには、日数制限時の利用法を検討する必要があり、マンスリーアパートなどと併用する方が増えています。
空き家を活用してホテル経営!
事例から考える実施のポイントと注意点
カフェ
カフェや喫茶店は事例が多く、比較的導入しやすい活用法です。
個性が光る経営スタイル
既存のカフェ店舗の大部分は個人経営で成り立っています。
空き家オーナーさんのセンスと狙ったコンセプトを合わせやすく、自由で多彩な経営スタイルを取れる点がカフェのメリット。リフォームを通じて「自分だけのお店」を表現し、お客さんに来てもらいましょう。
空き家活用で念願のカフェ経営!
事例から考える実施のポイントと注意点
全国の空き家の現状
平成25年度「住宅・土地統計調査」によると、全国の住宅は合計6063万戸。このうち空き家物件は820万戸です。
空き家住宅率は約13.5%ですが、前回調査時点と比べて0.4%ほど増加。更に空き家数及び空き家比率は過去最大を記録しています。
空き家活用の必要性
空き家対策に関する国の姿勢は、「硬軟両面」と言ったところでしょうか。
政府は空き家の活用を促し、(特定の用途に対して)助成金制度を導入する一方で、空き家の規制に関する法律「空き家対策特別措置法」を制定。管理不全の空き家の規制に乗り出してもいます。
空き家を放置したままでいると最悪の場合、強制撤去などの行政処分を受けてしまう可能性も。いずれの活用方法を取るにせよ、放置せずに適正な管理を行う姿勢が求められていると言えるでしょう。
活用するメリット
空き家を活用することで得られるメリットをご紹介します。
物件を収益化
放置した空き家が収益を産むことは、ほとんど考えられません。
逆に、物件を適切に運用すれば一定の需要が発生し、そこに収益が生じます。経営面での苦労も否めませんが、眠らせておくより活用を検討することをオススメします。
改修して倒壊・損壊リスクを回避する
空き家を管理不全のまま放置すると、空き家対策特別措置法上の「特定空き家」として扱われることがあります。
特定空き家に指定されると、ただ行政から怒られるだけでなく、固定資産税の特例措置の対象外になってしまう可能性も。
こうなると税負担が大きくなるため、空き家を改修して適正な管理を行い、賃貸物件などとして活用する方が増えています。
まとめ
現在の日本は全国的に空き家数、空き家比率が高く、管理不全などによる倒壊リスクが指摘されている状況です。
こうした状況を把握した国は、法整備を進め空き家物件の管理を求めると同時に、空き家のオーナーに向けて活用を促しています。
空き家の活用方法は賃貸住宅やシェアハウスの他に、カフェや保育施設など様々。立地や周辺環境を考慮して適した活用方法を求めましょう。
2015年5月26日に施行された「空家等対策特別措置法」では、『特定空家等とは、そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態、その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあると認められる空家等をいう』とされています。
引用特定空き家とは-NPO法人 空家・空地管理センター