特に東京オリンピックやカジノ法案の流れを受け、空き家をホテルや民宿など宿泊施設として活用したいとお考えの方が増えています。
観光大国として知られる日本では、訪日外国人の数は増加傾向。ホテル産業は立地・興行の影響を強く受けるため、多方面から期待されるビジネスです。
そこで今回は、ホテルや民宿事業の活用例やそのメリットなどをご紹介。空き家活用の参考にしていただければと思います。
Contents
ホテルの現状・今後の需要
厚生労働省が発行する「平成28年度 衛生行政調査報告例」によると、平成28年度時点でのホテル営業施設数は「10,101施設」、簡易宿所数は「29,559施設」です。
平成27年度時点の調査では、ホテル営業施設は「9,967施設」であり、簡易宿泊所数は「27,169施設」である点を考慮すると、ホテル施設は増加し、旅客営業数関連はやや微減していることがわかります。
参考平成28年度 衛生行政調査報告例
参考平成27年度 衛生行政調査報告例
今後の動向は?
昨今は海外からの訪問観光客が増加傾向にあり、ホテル施設の需要は更に伸びるものと見られています。
また、東京都心を中心に「宿泊施設が足りない!」との声も大きく、ホテルと比べて緩やかな条件で開業できる「民泊」の注目度も上昇。
中長期的には日本国内のカジノ事業展開も予定されており、ホテルや民泊需要に対しては、更なる需要増が期待されています。
ホテルへの活用の方法・流れ
不動産を宿泊施設用途として活用する場合、大きく分けて以下の通りに分類されます。
- ホテル・旅館として活用
- 簡易宿所(ベッドハウス、カプセルホテルなど)として活用
- 民泊として活用
ホテル・旅館業や簡易宿所は旅館業法の管轄であり、民泊は民泊新法により規定されています。
旅館業法は営業許可が必要なため、原則としてこれらの許可が必要です。
ホテル事業は難しい面も
「どうせ建てるなら大規模ホテルだ!」とお考えの方もいるでしょう。
ところが、ホテルや旅館は旅館業の中でも、法的な規制(建築業法・消防法等)が非常に厳しく、個人が一般的な空き家を転用するには難しい面も。
また、建設コストも非常に高額となるため、費用負担面も問題です。
参考ホテルサプリ
簡易宿所・民泊がオススメ
東京都内や首都圏のエリアなら、民泊や簡易宿所での開業をオススメします。
特に民泊については「住宅宿泊事業法」により、国家戦略特区を中心にして営業のために必要な規制が緩和。空き家を民泊として積極的に活用する方が大幅に増えました。
中には経営が軌道に乗るにつれ、「簡易宿所」としての許可を得ることで、更なるビジネスチャンスをつかむ方も増えています。
開業の流れは?
宿泊施設を開業するためには、概ね以下の流れが必要です。
- 事前相談
…各自治体に対する事前相談 - 許可申請・届出
…旅客業法では許可申請(民泊は届出) - 保健所調査
…施設が法律や条例の基準を満たしているかを調査 - 許可証の交付
…営業許可証の交付(数週間~数か月) - 営業許可
…晴れて開業
法令や条例による具体的な規制内容は、経営する宿泊施設の種類や地域により変動します。詳細は各行政団体もしくは、不動産会社等にご相談下さい。
参考ホテルサプリ
宿泊事業別メリットやデメリット
ホテル、簡易宿泊所と民泊事業では、それぞれメリットやデメリットが異なります。
ホテルのメリットやデメリット
ホテル業のメリットは、なんと言っても「家賃収入が高い」こと。
ホテルはそもそも特殊な施設であるため、賃貸物件として提供するだけで大きな収益が期待できます。賃貸対象がホテル法人なので、長期安定的に収益も得られるでしょう。
ただし、ホテル事業者が撤退した場合、その後の処理は大変です。物件の借り手を見つけることは困難と言わざるを得ません。
民泊のメリットやデメリット
民泊のメリットは以下の通り。
お手軽開業できる点が特徴です。
- 用途制限による規制の緩和が期待できる
- 開業許可が必要なく、届出で事足りる
デメリットは以下の通りです。
- 全ての規制が緩和されるワケではない
- 年間180日までの営業日数制限がかかる
(ただし、営業期間外をマンスリーアパートなどとして運用することは可能)
簡易宿泊所のメリットやデメリット
簡易宿泊所のメリットは以下の通り。
- 営業日数制限がない
- 旅館業として運営できる
デメリットは以下の通りです。
- 許可を得るまでに時間がかかる
- 場合によっては法規制を満たすために改修を迫られる
活用事例
民泊やホテルとしての活用モデルをご紹介します。
空き家をビジネス視点の民泊へと活用
空き家を民泊検索サイト向けにリノベーションした事例です。元々は取り立てて特徴のない空き家物件でしたが、
- 天井を高く取ると同時に、採光部分を広げ部屋を広く見せる
- シャワーブースのみ、コスパの高いラワン合板仕上げなど、コストを意識
- 水性塗料の重ね塗りだけで状態を維持できる壁面など、メンテナンスを容易に
などなど、「ビジネス視点での民泊」へと変貌を遂げました。
移築した古民家を宿泊施設として活用
移築した古民家を市が買い取り、宿泊施設として活用した事例です。
細部のディーテルにまで専門家の調査を受けた物件であり、元々三階建て物件だった古民家を2階建ての宿泊施設へとコンバーション。
- 柱や梁、桁等の構造材などは古材利用にこだわってリノベーション
- 家屋だけでなく、付属板倉をコテージとして活用
- 宿泊施設として適した間取りと部屋数に変更
などの工夫を施しています。空き家活用事例として広く知れ渡っており、文化と利便性を両立した物件として親しまれている施設です。
まとめ
観光大国である日本では、近くにはオリンピックやカジノ法案の影響があり、長期的には更なる文化発展から訪日外国人は更に増加すると見られており、「宿泊施設が足りない!」状況が続いています。
そんな中、注目を集めているのが「空き家の活用」です。空き家物件を宿泊施設へと活用しようと熱望する声は日に日に高まりを見せており、新しい宿泊システム「民泊」などが関心を集めるようになりました。
宿泊施設は法規制による影響を受け、多少難しい部分もありますが、需要の高い産業であることは疑いようがありません。
空き家活用の一手段として、検討されてみては如何でしょうか。