2018年現在保育園などの保育関連施設は、社会的な需要に供給が追い付かず、多くの支援制度が導入されている施設です。
固定資産税の減免措置により収益を安定化させたり、各種補助金により導入コストのを軽減したりと、負担の小さな土地活用が行えます。
昨今は待機児童問題の加熱によりニーズそのものが沸騰しているため、保育園は注目度の高い施設。今回は空き家を保育園に活用するためのポイントをお伝えしようと思います。
Contents
保育園の現状・今後の需要
厚生労働省が発行する保育所関連資料「平成29年 保育所等関連状況取りまとめ」によると、平成29年度4月1日時点での全国の保育所数は「32,793か所」。平成28年度調査結果の「30,859か所」と比較して、6.3%ほど増加しています。
また、同調査によると、保育所の施設数は過去8年間連続的に増加の一途を辿っており、その需要の高まりは疑いようがありません。
今後の見通しは?
都市圏を中心に待機児童問題は広がりを見せており、今後もこの傾向はしばらく続くものと見られています。
また、2020年4月より全面実施の予定となる「幼児教育無償化政策」の広がりに伴い、これまで保育園・幼稚園を利用しなかった家庭の児童も算入の見通し。
保育関連施設の需要は広く望まれていると言えるでしょう。
参考Bloomberg 幼児教育無償化は2020年4月に全面実施
保育園への活用の方法・流れ
保育園および保育関連施設への空き家の活用方法は、様々な手法が挙げられます。
保育園は基本的に法人が行うものですが、最近は「家庭的保育事業(保育ママ)」のように、個人で行える保育関連事業も登場。
この他にも「小規模保育事業」や「グループ保育室」など、保育に関心を持つ空き家オーナーさんが気軽に保育事業を展開する機会が整っています。
参考家庭的保育事業(概要)
設立時の流れは?
保育関連施設は、闇雲に開設して成功するものではありません。
また、国及び自治体が定める様々な基準をクリアする必要があるため、事前の事業計画・空き家リフォーム計画は必須です。
参考株式会社スクルドアンドカンパニー 「保育所経営 開園までの流れ」
保育事業者に賃貸する活用法も
使っていない空き家や更地を、保育事業者に賃貸する活用方法も存在します。
この場合は借主の募集を行う必要がありますが、固定資産税の減免や同等の金額を支給を受けることが可能です。(地域の自治体による)
もちろん借主はご自身で探す必要がありますが、土地活用を得意とする不動産会社に相談してみるのも1つの手です。
メリットデメリット
保育園および保育所関連施設のメリットをご紹介します。
保育園への活用のメリット
メリットは以下の通りです。
各種補助金による支援効果
保育園は高齢者施設同様に、社会的事情から強く要請されている施設です。
そのため、保育園を運営するために必要な、バリアフリーや間取り改装などにおいて、改修費補助などの支援を導入している自治体が目立ちます。
利益率が高い
経営的な視点で見ると、保育施設は利益率が高く、初期投資金額が少ない点が特徴です。
保育園は大型設備が不要なので必要なコストを抑えつつ、ニーズに沿ったリフォームを行うことができます。更に待機児童問題の影響から、立地によっては即座に黒字化することも夢ではありません。
安定性が高い
保育園に1度入園した児童は、大きなトラブルが無い限り数年間在籍します。
そのため、一度獲得した収益が突如減ってしまうリスクが少なく、経営的には非常に安定性が高いビジネスです。
税制面での優遇措置
地主としてのメリットです。東京都や大阪府の1部地域で、保育園用地として賃貸に出した不動産について、固定資産税の減免措置を導入しています。
特に待機児童問題が顕著なエリアで要請が強く、大きなメリットとして注目を集めています。
参考保育園を経営したいあなたのための基礎知識!資格は必要?実際儲かるの?
保育園への活用のデメリット
デメリットとしては以下のようなものが考えられます。
近隣住民との衝突
近隣住民との衝突は、保育所運営で最も不安なデメリットです。
実際、過去に保育施設の建設に対する住民による反対運動が起きた事例も多数あり、そのような場合、計画自体を断念しなければならなくなる可能性があります。
活用事例
保育園の空き家活用事例をご紹介します。
店舗兼住宅を保育園へ改修
使っていなかった店舗兼住宅を、保育園に改修した事例です。
元々は、一般的な店舗兼住宅といった内装で、そのままでは保育所としての魅力はさほどありませんでした。
しかし、今回「子供たちの安全と成長を見守りたい」というコンセプトで作られ、
- 木目がきれいな合板を使用。木材のぬくもりが伝わる優しい内装に
- ドアには赤や青、緑などの色を加えて楽しい雰囲気に
- 屋上の床に防水加工を施し、園庭として遊べるように
- 子供が不安を感じない用に、カウンターや扉の高さを調整
- コンセントやドアノブは子供の手が届かない位置にして安全性を確保
などなど、園児たちに安心感を与えつつ、安全面での配慮がなされた保育園へと変貌を遂げました。
都心に位置する好立地も相まって、施設の人気は高まる一方。現在では多くの盛況に包まれ、毎日が笑顔で溢れています。
引用スタイル工房
アパートの2部屋を改装して保育所に!
経営していた保育所が手狭になり、アパート2部屋を改修して保育所にした事例です。
古いアパートだったため元々の内装は、お世辞にも保育所に向いているとは言えません。特徴を下記に整理しました。
- 和室2部屋とリビングダイニング1室と平凡な構成
- 住居用のため古びたキッチンや浴室、トイレが混在
- クロスや天井が老朽化しており全体的に暗い印象
もちろん、このままでは保育所としての魅力が低く、サービス面がいかに充実していようと、大切な子供を預けようという保護者は少ないでしょう。
そこで今回の事例では、
- 和室2室とリビングダイニングを結合。全床フローリングに
- 浴室は児童用のシャワールームに改装。もう1室のものは更衣室に
- キッチンは子供たちの食事を作るために最適化
- ベランダをウッドデッキに改修し、開放感のある外観に
- 内装クロスは全面張替え。腰板とクロスを合わせてオシャレで親しみのある内装に
- 子供たちが簡単に開閉できるアウトセット引き戸に改修
保護者や園児のニーズを考慮して、上記のようなリフォームを導入。多くの保護者から支持を得ています。
引用トマトハウス
まとめ
保育園は社会的なニーズが強く、導入・維持の両面から各種支援が期待できます。
また、投資金額が少ない割に利益率が高く、安定的な経営ができる点も保育園ならではのメリット。ご自身での経営を目指しても、賃貸物件として融資に出しても、それなりの収益を期待することができるでしょう。
ただし、魅力的な保育園としてアピールするためには、法令・ニーズの両面に対応したリフォーム改修が欠かせません。理想的な保育園を手にするためにも、豊富な経験を持つリフォーム業者に相談することをオススメします。
保育園・保育関連施設開所の流れ
(必要に応じて)人員を確保・提携事業者を確保