効果的な不動産投資は、所得税や相続性などによる税負担を減らすことが可能です。
時折「法人化しないとできないんじゃないの?」と疑問をお持ちになる方もいらっしゃいますが、そんなことはありません。確かに合計所得が大きくなると法人化した方が有利ではあるものの、サラリーマンでもしっかりと節税対策できますよ。
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不動産投資で節税ってどういうこと?
私たちが働いて給料をもらう際には、必ず「所得税」が天引きされていますよね。所得税って意外と負担が大きくて、例えば課税所得金額が330万円~695万円である方は、実に20%も差し引かれているんです。
また、相続をお考えの方にとっては「相続税」も気になるポイントではないでしょうか。近年相続性に対する国の姿勢は厳しくて、次世代への税負担は不安の一途を辿っています。
不動産投資が持つ節税効果の威力は高く、これら2つのお悩みを一度に解決するチカラを有しています。
所得税は「損益通算」で還付する
「不動産投資を行うことで、支払った税金が戻ってくる」。投資初心者の方は、こんなこと言われても全くピンとこないでしょう。それもそのはず、不動産収益と給与所得は全く別のビジネスであり、そこにはどのような関連性もないからです。
ところが、所得税は損益通算という考え方に基づいて作られている税制です。つまり、法的に認められた項目の赤字であれば、確定申告時に支払った税金を取り戻すことができると定めています。
不動産投資による「赤字」はもちろん損益通算の対象範囲。給与所得が高くても、不動産投資で赤字を生み出すことで、大きな節税効果が享受できるでしょう。
でも、損したら意味ないのでは?
「不動産で赤字なら、結局所得は減っている。投資する意味ないんじゃないの?」という疑問をお持ちになる方は多いでしょう。このご指摘は、当然的を射た考え方です。「投資不動産は万年空室。固定資産税だけ払っている」といった状態では、本末転倒と言うしかありませんよね。
ところが、投資用不動産は「実際には1円も支出していないのに、書類上は赤字となる」魔法のような効果があるんです。もちろん、何かの脱法行為ではありません。
減価償却で赤字を計上
不動産には「減価償却」という概念が存在します。簡単に言うと、「年数が経つと家が古くなるから、その分赤字と考えましょうね。」という理論です。そのため、一度不動産を購入すると、耐用年数を満了するまでの間、継続的に赤字を計上し続けることが可能です。
もちろん、不動産は賃貸住宅としてビジネス運用して良いですし、いらなくなったら売却することもできるでしょう。節税対策としては、この上無く効果的と言っても良さそうですね。
相続税を対策する
相続税の圧縮効果は不動産投資で受けることができる、もう1つのメリットです。
通常、相続が発生した際に現金は控除分を除いた、そのままの金額で評価されます。現金資産は流動性が高く算出しやすいため、特別な節税対策は行いにくいのが実情です。
ところが、不動産は土地部分について「標準時価の8割程度である路線価ベースに、借地借家割合で算出したもの」、建物部分は「固定資産税評価額に借家権割合をを差し引いたもの」で計算するため、相続資産の大幅な圧縮効果が得られます。
つまり、投資用不動産として購入したのち、実際に収益物件として運用するわけですね。
最近特にお持ちの現金資産を投資用の不動産へと変換する方が増えており、中には実質的に半額以上の節税効果を得たという方も珍しくありません。
金額が大きくなると法人の方が有利になる
ここまで、主に個人向けの資産運用として節税対策を述べてきました。ところが、本業や投資物件の収益額が大きくなると、個人よりも法人の方がお得な税制となるんです。具体的には「およそ1,300万円の所得合計額」が境目だと言われています。
法人税と所得税「累進課税」という考え方
法人も個人も“法律上の人”である限り、法人税や所得税を納め続けることが求められます。
ただし、法人が課税される法人税は事業規模の大きさで税率が異なってくる点に対して、所得税は累進課税という「所得が大きくなるほど税率がアップする」考え方に基づいて課税される等、税率に対する基本的な有り方が異なります。
そのため、収益額が大きくなり「所得合計が1,300万円以上」の収益となった場合、法人化を検討すべきかもしれません。(法人格を維持するために必要なコストもありますので、詳細は税理士等にお尋ね下さい)
法人の方が有利な場面も多い
少し細かな話になりますが、法人化すると損益通算の柔軟性が高まり、より節税できる範囲は広がります。例えば、個人では行うことができなかった「不動産賃貸と不動産売却の損益」を同じ区分で処理することができるため、状況によってはとても大きな節税効果を生み出すでしょう。
また、法人は青色確定申告で受けることができる繰越損失(簡単に言うと、前の年で損した部分を翌年の利益と相殺できる制度)の期間がとても長く、様々な場面で有利と働くものと考えることができます。
無論、どんな状況でも「法人の方が良い!」とは言い切れませんが、基本的には収入が大きくなるにつれて法人の方が税制上は有利です。
最後に
不動産投資にまつわる節税効果、ご理解いただけたでしょうか。今回は初心者さんを対象にできるだけわかりやすく述べました。
投資用不動産のご検討の際には、お客様1人ひとりの個別的な事情に沿った、的確な助言を行う業者選定が理想です。