墨田区は東京特別区の他区と同様に、人口・世帯が増加傾向にあるエリアです。
空き家数こそ標準的な水準であるものの、不適正管理状態の住宅を含む「その他の空き家」の割合が高く、空き家の適正管理が求められている地域と言えます。
今回は、そんな墨田区の空き家状況や、管理・活用に役立つ補助金制度をご紹介しようと思います。
Contents
墨田区の政策の基本方針
墨田区は平成29年6月に発表した「墨田区空家等対策計画」にて、基本方針及び概要を明らかにしています。
墨田区では、空き家等対策の推進に関する特別措置法に基づき
- 空き家の老朽化や管理不全化への対策
- 空き家発生や危険化の予防
- 空き家の利用や活用
上記3点を推進するものと定めています。区民はもとより各業界のエキスパートと協働し、様々な対策の推進を手掛けている区です。
墨田区の空き家の現況
平成25年度の住宅・土地統計調査によると、墨田区内の住宅総数は140,210戸です。このうち空き家件数は15,570戸を記録しており、総住宅の約11.1%を占めていることがわかります。
続いて、割合で見てみましょう。墨田区は平成15年~20年の間は空き家率が10%以下で推移しており、全国平均を下回っていた地域です。
しかしながら、平成25年度の調査結果では上昇傾向に転換。東京都全体と同水準の11.1%を記録するなど、急速に空き家率が高まっている状況です。
※空き家率: 総住宅数に占める空き家総数の割合
※その他空き家率: 総住宅数に占めるその他の空き家(⼆次的住宅・売却⽤住宅・賃貸⽤住宅以外の空き家)の割合
その他の空き家が増加
墨田区は統計区分上の「その他の空き家」に関する対策が急がれている地域です。
住宅・土地統計調査による空き家数は既に述べたところですが、このうち既に賃貸・売却・別荘利用などの用途に供されていない「その他の空き家(適正管理が施されていない可能性が高い空き家)」は、平成25年時点で4,160件も確認されています。
墨田区は平成20年(3.9%)と比べて「その他の空き家」の割合を減らしている地域ではありますが、平成25年時点においても、未だ住宅総数比3.0%もの「その他の空き家」が確認されており、東京都の平均値(2.1%)を上回っている状況。
「墨田区は空き家率は標準的ながらも、その他の住宅の割合が高い地域」として、今後の空き家活用が期待されるエリアです。
世帯数に見る住宅需要
墨田区は都心回帰の流れにあり、人口・世帯数の伸びが目覚ましいエリアです。
特に平成7年以降は増加の一途を辿り、人口数においては平成7年時点の215,681人に対して、15年後の平成22年は247,606人を記録。更に平成30年4月6日時点で人口270,000人を突破しました。
この人口増加の流れは墨田区は街づくりの基本戦略をまとめた「墨田区基本計画」の推計を上回る勢いを示しているとのこと。急増する人口増に伴い、空き家の活用・住宅需要の高まりが期待されています。
墨田区の具体的な空き家支援政策
それでは、墨田区の具体的な空き家支援政策を見て行きましょう。
改修に関する政策
墨田区の物件が対象となる、空き家の改修に対する支援事業や補助金政策です。
木密地域不燃化10年プロジェクト推進事業
東京都が推進する木密地域不燃化10年プロジェクトに基づき、墨田区でも「不燃化特区」と認定された地域の空き家や建物の除却・改修を支援しています。
補助制度は多岐にわたり、下記を中心に様々な工事の助成金を支給しています。
- 建築物の除却工事
- 不燃化建物の建築
- 道路計画による建築物後退 など
改正住宅セーフティネット関連の政策
墨田区では平成30年4月13日時点で、改正セーフティネット法による「住宅確保要配慮者専用住宅」に対する支援制度は実施していません。
ただし、来年度以降の予算で同法による補助金政策は検討中であり、改修工事費および家賃(2万円)の支援を考えているとのこと。
現段階では検討案のため詳細は不明ですが、家賃補助が実現すれば、入居者・オーナーの双方に大きなメリットが生じることになるでしょう。
解体に関する政策
墨田区の物件が対象となる、空き家の解体に対する支援事業や補助金政策です。
老朽危険家屋の除却費等助成制度
2016年6月1日よりスタートした新しい制度で、区が指定する空き家等の除却工事費の一部を支給します。
本制度は物件の性質に応じて、下記の2種類の助成金が適用されます。それぞれ条件が異なるので、確認しておきましょう。
土地無償貸与を前提とした除却費用
管理不全と認定された危険な物件を除却した後に、跡地を区に10年間無償貸与する場合に支給される助成金制度です。
- 対象工事は?
→ 除却工事 - どんな住宅が対象?
→ 区が老朽家屋と認定したもの - 補助金の額は?
→ 上限200万円
不良住宅を対象とした除却費の助成
住宅地区改良法に規定する「不良住宅」に該当した建築物を対象に、除却費用を支給する制度です。
- 対象工事は?
→ 除却工事 - どんな住宅が対象?
→ 住宅地区改良法の「不良住宅」(100点以上) - 補助金の額は?
→ 除却工事費の1/2 上限50万円
その他空き家対策に関する政策
墨田区の物件が対象となる、その他空き家対策に関する支援事業や補助金政策です。
空き家セミナー&個別相談会
空き家の管理や活用にお悩みのオーナーさんを対象にした、区が実施する相談会です。開催時期に応じて区報やウェブサイト上に掲載されます。
もちろん、空き家の活用等のご相談は、弊社でも承っております。日程や時間の相談も受け付けておりますので、空き家活用をお考えの際は、お気軽にご連絡下さい。
まとめ
墨田区は危険家屋や老朽家屋の増加を抑制すると同時に、空き家の積極的な活用を促し地域の発展を促進している地域です。
東京都の要請による不燃化特区に関する除却・建築等費用や、危険性のある老朽家屋の除却費用を助成金として供出することで、オーナーさんの負担を減らそうと働きかけています。
墨田区全体に目を渡すと、未だ多くの4000以上もの空き家が眠っている状況です。建物に対するニーズは高いエリアなので、対象物件をお持ちのオーナーさんがいましたら、一度活用を検討されてみてはいかがでしょうか。
空き家の活用相談は、弊社でも積極的に承っております。
- 空き家の対策や活用方法に悩んでいる
- 相談会とスケジュールが合わない
- プロの目線に立ったアドバイスが欲しい
上記のようなお悩みをお持ちの方は、是非お気軽にご相談下さい。
住宅地区改良法施行規則第1条に規定する不良度の評点が100点以上のものを指す。