千葉県千葉市の空き家戸数はとても多く、また年々増加傾向にあります。
空き家の増加は倒壊や火災等のリスク要因となるため、全国各地で対策が進んでいる事案です。そのため、千葉市でも空き家対策や活用に向けた、様々な取り組みを実施するようになりました。
今回は、そんな千葉市の「空き家対策に向けた取り組み」をご紹介。その内容を解説しようと思います。
Contents
千葉県千葉市の政策の基本方針
千葉県千葉市では、「眠っている空き家の有効活用」を目指して、様々な施策に取り組んでいます。
参考 空き家の有効活用|千葉市
県と市でそれぞれ異なる施策を実施しているものの、「空き家の活用」を目標にしている点では共通しており、
- 空き家の活用に対する支援制度(活用に対するアプローチ)
→千葉市住宅確保要配慮者円滑入居賃貸住宅登録制度など - 危険性の認められる空き家への行政措置制度(放置空き家のリスク管理)
→県の空家対策検討部会による「特定空き家」のガイドライン策定など - 空き家の需要を高めるための移住制度(需要に対するアプローチ)
→空き家バンクの導入など、自治体が実施する千葉市の移住制度
など、様々な施策が実施されています。
これらの施策は段々と効果を見せ始めており、後述の「千葉県の空き家利用状況」にて反映。賃貸や居住用物件としての活用を検討するオーナーが、増え始めているといえるでしょう。
千葉県千葉市の空き家の現況
千葉県の空き家住宅の数はとても多く、更に年々増加傾向にあります。
平成25年に国が実施した住宅・土地統計調査によると、千葉県の空き家数は約36万7000戸を数えます。
これに比べて、平成20年時点での同調査では、千葉県全体の空き家件数は約35万6000戸を記録。5年間で約1万1000戸ほど増加していることがわかります。
その千葉県全体に対し、千葉市に限定した場合の空き家件数は平成25年で約5万2700戸です。
平成20年の空き家件数5万4250戸と比較して減少傾向であることがわかります。
その内訳は?
それでは、千葉市に焦点をあて、クローズアップしてみましょう。
下記は「千葉市内の空き家の内訳」を分析したグラフです。
※「賃貸用の住宅」+「売却用の住宅」:市場に出ている空き家
※「二次的住宅」:別荘やセカンドハウスとしての利用
※「その他住宅」:市場に出ていない空き家
前項より、千葉市では平成20年と平成25年の空き家を比較すると総数は減っているが、内訳の「その他の住宅」は3,000戸以上増加しているのが上の円グラフからわかります。
千葉市は空き家対策に積極的に力を入れており、総数は減っていますが、まだまだ広く浸透していない様子も伺えます。
千葉市の具体的な空き家対策
現在空き家の総数としては減少傾向にある千葉市では、どのような施策を実施しているのでしょうか?具体的な空き家対策を紹介いたします。
千葉市住宅確保要配慮者円滑入居賃貸住宅登録制度
空き家や賃貸物件を、「要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅」として登録する制度です。
登録された空き家物件は、「セーフティネット住宅情報提供システム」に登録され、多くの入居希望者に対してアプローチが可能です。
通常のアパートだけではなく、空き家をシェアハウスとして登録することもできるため、「空き家活用」としてはピッタリの制度ではないでしょうか。
なおここでいう「要配慮者」とは、高齢者や低所得者、日本国籍を持たない人などが該当します。
登録住宅には国の補助金対象となる場合も
千葉市が実施する千葉市住宅確保要配慮者円滑入居賃貸住宅制度の登録物件は、国が実施する改修補助金の支給対象となる可能性があります。
物件の広さや設備、実施する工事内容等の制限はあるものの、老朽化した空き家にお悩みのオーナーさんにとっては、有益な選択の1つです。
千葉市住宅供給公社による解体費補助
千葉市では原則として空き家解体の工事費に対して補助金を支給していません。
しかしながら、千葉市の住宅供給公社では「空家の管理・解体促進支援事業」の一環として、「駐車場としての活用を行う場合のみ」解体費の補助費用として10万円の支給を行うものと定めています。
ただし、この補助金を受けた場合、「5年の間、公社と駐車場管理委託業務契約」を締結することを容認しなくてはなりません。
相談窓口やセミナーの実施も
また、千葉市では金銭的な支援以外にも、これから空き家活用を考えるオーナー向けに「住まいのコンシェルジュ」を設立。
- 空家の活用に関する相談
- 相談員による現地訪問
などなど、柔軟サービスを提供しているようです。
更に、千葉市では年に2回程度のペースで、空き家活用などに関するセミナーを開催。積極的に情報提供の場を設けています。
参考 住情報セミナー|千葉市
まとめ
千葉県では空き家が増加傾向にあり、不要な空き家の有効活用が県全体の課題となっています。また、千葉市では国や県の方針に沿って、
- セーフティネット住宅情報提供システムの登録サービス
- 空家の活用や解体に関する補助金の案内
- 空き家の活用方法などに対する相談やセミナーの場
などなど、オーナーに対して多方面から支援を実施しており、総数としては減少傾向にあります。
千葉市内に空き家があり、活用方法にお悩みの方は、比較的多くの施策を実施している千葉市であるからこそ、一度活用を検討してみてはいかがでしょうか。
千葉市の公的な機関での相談も行うことができますが、しっかりと収益化するための専門家として、弊社でもアドバイスを行なっております。
ぜひ一度ご相談ください。
2015年5月26日に施行された「空家等対策特別措置法」では、『特定空家等とは、そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態、その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあると認められる空家等をいう』とされています。
引用特定空き家とは-NPO法人 空家・空地管理センター