空き家の解体を行う前には、補助金制度の確認をオススメします。
空き家の活用や老朽家屋対策を推し進める政府は、危険性のある空き家の解体や改修を促す方針を決定。各自治体はこれに従い、補助金の交付を打ち出しているからです。
政府が実施する平成25年土地統計調査によると、現在日本国内には合計853万戸(総戸数の14.1%)の空き家等が存在します。
近隣住民とのトラブルに発展しかねない空き家も多く、また逆に「可能性を持った空き家」であることも。いずれにせよ、補助金の導入が進む昨今、解体や活用を検討する時期かもしれません。
空き家数 参考平成25年住宅・土地統計調査(速報集計)結果の概要
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空き家解体補助金とは?
空き家解体補助金とは、放置・老朽化している家屋の解体を推進するための政府による補助事業の総称です。
概要としては、「空き家を解体するときに、政府が支援してくれるんだな」といったイメージですね。解体時に要した費用の一部が補助されます。
自治体によって規定が異なる
この制度は地方自治体によって規定が異なります。「全国共通的な適用条件」はありません。
そのため、「制度の名称」や「金額」、「適用条件」などに若干の差が認められます。統一した呼称がないので、調べるときにやや不便を感じることもあるでしょう。
また、自治体によっては補助金制度を実施していないというケースもあるようです。
金額はどれくらい?
空き家解体補助金制度の金額は、およそ「50万円~100万円」です。
また、「工事費用のうち1/3」といった具合に一定割合において補助額を算出。「上限額」を限度に支給すると定められています。
もちろん、自治体ごとに支給割合や上限額は異なります。また、同じ地域であっても年度や時期によって変動する可能性もあるので、空き家のある自治体にて調べる必要があるでしょう。
空き家解体補助金をもらう条件は?
前述したように、空き家解体補助金制度は「全国共通的な適用条件」はありません。
そのため自治体によって取り扱いが異なるため、実際に利用するときは各自治体に個別に問い合わせを行い、適用条件を調べましょう。
ただし、全国的な共通傾向は存在します。したがって、ここでは一般的な例としての条件をご紹介しようと思います。
空き家に求められる条件
制度を適用するためには、補助金の対象工事であることを自治体に認めてもらわなくてはなりません。
審査基準は大きく分けて、以下の3種類に分類されます。
- 住宅に求める条件
- 対象工事に求められる条件
- オーナーに求められる条件
住宅に求められる条件
ほとんど全ての自治体は現況が「危険な空き家」であることに定義を設けています。
補助金支給のための4要件
- 使用期間に関する規定(例:1年以上居住その他の使用がない)
- 危険度に関する規定(例:市が実施する危険度測定の基準を満たす等)
- 構造に関する規定(例:木造建築・軽量鉄骨に限る等)
- 法律に関する規定(例:特定空き家勧告に従っていない等)
対象工事に求められる条件
実施する工事も「解体と認められるもの」であることが求められています。
- 工事内容に関する規定(例:危険可能性のある空き家を解体「更地」にするもの)
- 施工業者に関する規定(例:自治体に拠点を置く事業者の工事であること)
- 法令上の規定(例:建設業法の業種の許可を受けた事業者による工事であること)
オーナーに求められる条件
オーナーに対しても一定の条件を求める自治体は多くあります。
- 税金に関する規定(例:市税を滞納していないこと)
- 反社会勢力に関する規定(例:暴力団や関係者ではないこと)
- 所有に関する規定(例:登記簿上の所有者および相続人であること)
特に税金の滞納を失念している方は多く、いざという時に審査落ちになることも。滞納等の有無はしっかりとチェックしたいところです。
解体後の活用事例:駐車場として活用
解体後の土地は、活用方法によって様々な可能性を生み出します。
ここでは代表的なパターンをモデルケース別にご紹介。それぞれの魅力をお伝えしようと思います。
倒壊寸前の空き家を解体!青空駐車場として運用
Aさんは、「野良猫が住みついて匂いが酷い」とクレームが入ったことを契機に、亡き老母が住んでいた空き家の解体を決意。
解体費用や補助金・そして後の運用方法の相談に、弊社に来店されました。
相談を受けた弊社担当者が現地に赴き調査を進めたところ、周囲の住民のものと思われる路上駐車が非常に多く、またAさんの住宅の玄関前にも無断駐車が確認されました。
そこで弊社は、解体を進めた上で「近隣住民向けの月極駐車場としての活用」をご提案。「費用を抑えたい」というAさんの要望に添い、路面整備に絞った舗装を実施します。
現地訪問が功を奏す
結果、Aさんの駐車場は大盛況。月15,000円と都内であるにも関わらず格安な事情もあり、6か月の間にたちまち満車となりました。
もちろん、
「月15000円ではあまり収益がないのでは?」
とお考えになる方もいるかと思います。
しかし、Aさんの不動産は住宅街。固定資産税評価額の低さもあり、15,000円の料金設定でも十分な収益を生み出しています。
更に戸建住宅街は長期入居が前提なので人口変動が少なく、収益の安定性も魅力的。実際に現地を訪問する弊社のスタンスだからこそ、ご提案できた部分かと思います。
土地活用ならご相談を
危険な空き家の解体は、リスクを軽減して新たな可能性を開きます。
ただし、空き家の状態や立地条件によっては、「解体せずに別の活用方法を模索」した方が有利になることも少なくありません。
解体や補助金制度・運用方法などに迷ったときは、是非とも弊社にご相談ください。オーナー様のお立場に寄り添う形で、ご意向に沿える活用方法を追求します。
まとめ
危険な状態の空き家は、倒壊や火災・犯罪等の様々なリスクを生み出します。
また、政府は倒壊の危険性や近隣住民への被害が認められる空き家を「特定空き家」と定めることで、様々な処分を行うことが可能です。
「特定空き家」の対象になってしまってからでは、後悔しても追いつきません。そのため、補助金を利用した空き家解体は、特にオススメしたい土地活用の1つです。
2015年5月26日に施行された「空家等対策特別措置法」では、『特定空家等とは、そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態、その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあると認められる空家等をいう』とされています。
引用特定空き家とは-NPO法人 空家・空地管理センター